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SPECIAL対談 今酒雄一×高木優一
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性行為による感染の増大

高木優一:
子供のころの集団検診による予防接種で感染するということは、まだ子供には感染に対する免疫がないからということですか。
今酒雄一:
その通りです。乳幼児期はいわゆる免疫寛容の状況にあり、ウイルスが体内に侵入してきても自己の免疫システムが未熟なために感染してしまうのです。
思春期になると免疫システムが確立するため、仮に感染してもキャリア化することはないとされています。
けれども、実は近年、急性肝炎後に慢性化する症例が増加しているのです。
これはジェノタイプB、Cと分類される、従来日本人のB型肝炎ウイルスの大部分を占めるタイプと異なり、性風俗産業が主な感染源と見られるジェノタイプAe型の外来種(アジアヨーロッパ型)のウイルスによる急性肝炎の患者数が近年急増しているからです。ジェノタイプAeの急性肝炎罹患後の慢性化率は20~30%に達するとの報告もあります。近年では性行為での感染というパターンが大変多くなっています。
高木優一:
なるほど。性行為による感染が現在のB型肝炎感染の主流になっているということですね。他にはどんな感染パターンが考えられますか。
今酒雄一:
刺青やピアスの穴開け器の使い回しなども挙げられます。
高木優一:
それは恐ろしい。その辺は、ちゃんと教育しなければいけませんね。基本的にB型肝炎は治らないと言われています。
今酒雄一:
C型と違いB型は治りにくいですね。インターフェロンが効きにくいのです。
また、B型の怖いところは、半年前に健診を受けて何にも問題にならなかった方が、半年経って受診したら肝臓がんを発症していて余命何カ月の状態だったということもあるのです。
C型の場合は少しずつ進行していくのですが、B型は急にがん化するリスクがあり、そこが非常に怖いところですね。

photo by naokichi hasebe

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