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SPECIAL対談 北川祥一×高木優一
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デジタルフォレンジックに精通している弁護士はとても少数

高木優一:
弁護士がデジタルフォレンジックのシステムを知っているか、知らないかは重要ですね。たとえば何らかの紛争や訴訟が起きた場合、結論がまったく逆になることもあるような気がします。
北川祥一:
十分にありえます。最初の法律相談の段階、つまり入口の段階でさえ案件の見込みが変わってしまいます。
法的請求・訴訟と言っても事実の立証が非常に重要です。相談をフォレンジックの知識がある弁護士へ相談を持ちかけるのと、その知識がない弁護士とでは対応が大きく異なる可能性があります。
たとえば、唯一の証拠となるメールがあったとします。相談者はうっかりそのメールを消してしまいました。
フォレンジックの知識がない弁護士であれば、「それが唯一の証拠なのに消してしまったのでは立証はむずかしいです。請求は無理でしょうね」という話で終わってしまいますが、知識がある弁護士であれば、対象デジタル機器の現状について確認し、メールデータの復元などにより、適切な請求・訴訟を行える可能性は十分にあるでしょう。
高木優一:
画期的ですね。でも、弁護士さんでフォレンジックの知識がある方は少ないのではないのですか。
北川祥一:
あくまで個人的実感ではありますが、存在は知っていても、技術的側面にも精通し、積極的な活用までできている人は、未だ、比率として相当少ないのではないかと思います。
必要性という観点からいえば、今の訴訟では、メールが証拠として提出されるケースもとても多いと言えますので、もし、そのような証拠が決定的証拠となり勝敗が決するような場合は、デジタルフォレンジックによって元のデータを解析し、真正(偽造でない)な証拠であることの立証、或いは偽造証拠であることの立証が求められていくような場合もあり得ると思います。
高木優一:
実際、先生の事務所が扱った案件で、デジタルフォレンジックの技術を使った調査・解析の事例としてはどのようなものが挙げられますか。
北川祥一:
たとえば、国際問題絡みの訴訟で20万件以上のメールデータ復元を行い、証拠として必要なメールを抽出した上で、裁判所へ提出したという案件がありました。
高木優一:
なるほど。特に先生の事務所のような国際案件、アジア諸国へ進出する日本企業への支援が多い弁護士事務所でも、大いに活用できそうですね。

photo by naokichi hasebe

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