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SPECIAL対談 金井義家×高木優一
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相続・資産承継の世界では、日本はまだまだ発展途上

高木優一:
一部のハウスメーカーが、相続対策と銘打ってアパートやマンション経営を煽ることなどが、悪徳商法だとメディアで批判されています。
金井義家:
厳しい見方かもしれませんが、むしろ他人の言うことを何も考えずに鵜呑みにする資産オーナーの方が問題だと思います。今や日本の人口が減っていく中で、その土地の人口動態も調べず、契約書の中身も精査せずにマンションやアパートを建てたのはあなたでしょうと言いたい気持ちが正直あります。別にハウスメーカーは嘘をついていないし、銀行だって空室だらけになったらお金を返さなくても良いですよなどとは一言も言っていません。もちろん批判されるべき側面が皆無だとは言いませんが、かと言って、一概にハウスメーカーや銀行を全面批判するのは筋違いだと感じています。日本の資産オーナーの知識水準は世界から見れば低すぎるという印象を持ちます。この建築費だと、30年内に空室率が20%を超えたら経営破綻してしまうからやめておこうとか、逆に建築費がいくらだったら空室率50%でも持ちこたえられるだろうか、というように頭を回転させなければいけないのに、何も考えずに安易にハウスメーカーや銀行の上手そうな話に乗ってしまうオーナーが多すぎるのではないでしょうか。
高木優一:
巷では何も知らないオーナーを騙すという論法でハウスメーカーを批判する傾向にありますが、必ずしもそうではないということですね。
金井義家:
虫眼鏡を使わなければ読めないくらい小さい字かもしれませんが、契約書などに、全ての条件や注意事項がきちんと書いてある以上は騙しているということは全く無いと思います。結局のところ、日本は資産を適確に相続・資産承継するための十分なスキルを備えた資産オーナーがまだまだ少ないということです。言葉は悪いかもしれませんが、相続・資産承継するということは本当に厳しいことですから、自分で契約書を読んだり、調べたりしない「甘ちゃん」は、最初から資産オーナーには相応しくなかったということです。日本は富裕層の歴史が欧米に比べればずっと浅く、まだ、発展途上の段階です。ですから、今、失敗を重ねていくのもある程度は仕方がないと感じています。欧米にしろ、長い歴史の中で失敗を繰り返し淘汰されつつ、やがてはしっかりと相続・資産承継ができる優れた富裕層だけが生き残るという工程を経てきているのですから。

photo by naokichi hasebe

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