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SPECIAL対談 半澤孝広×高木優一
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お客さんではなく、メーカーの論理で家を建ててしまう

高木優一:
各ハウスメーカーとも住宅展示場には膨大な経費をかけているわけですが、あそこに来て物件を見て購入を決めるお客さんはほんのわずかですよね。
半澤孝広:
1ヶ所の展示場で、月に2~3本契約を取れれば優秀だと言われますね。
高木優一:
展示場の経費がすべてそのお客さんの建築費に乗ってくるわけですね。半澤さんがミサワホームをお辞めになり、次に立ち上げた会社も結局は社長になられた方がミサワホームと同じことをやりはじめた。つまり住宅展示場を作るという話になったのですね。
半澤孝広:
そうなんです。大手とは違うやり方をしようと立ち上げたのにもかかわらず、結局は同じ轍を踏み、価格競争に巻き込まれ潰れてしまいました。
高木優一:
考えてみれば、たとえば建材の質などは大手のハウスメーカーに頼もうと、半澤さんの会社に頼もうが変わらないんですよね。
半澤孝広:
変わりません。大手のハウスメーカーはいつも高級品を使い、小さな我々みたいなハウスメーカーはチープな建材を使うなどということはありません。私のお客さんの例を挙げますと、その方は地主さんで大手のS社でもD社でも家を建てたことがあります。そしてある時に私と知り合い、賃貸住宅を建てたいという段になって見積りを出させていただきました。結果、D社とウチとでは、ほぼ同様の仕様であるにもかかわらず、1,000万~1,500万の間ぐらいの開きがありました。D社は大手のブランド力のある会社でしたが、そのお客さんは私を信用していただきオーダーに至ったのです。それから、その方の物件を10件建てさせていただきました。
高木優一:
今のハウスメーカーによる家作りのどこが問題だと考えますか。
半澤孝広:
ハウスメーカーはルールと言いますか、縛りが多くあって、100%お客さんの要望には応えられていません。計画を進めていくうちに、本来ならばお客さんのための家作りが、ハウスメーカー側の都合に合わせた家作りに変わってしまうのです。メーカー側の事情にお客さんが合わせるというような状況になってしまいます。
高木優一:
お客さんは住宅の専門家ではないし、勉強する暇もないでしょうから、結局はメーカーの言いなりにならざるをいえない。
半澤孝広:
そうなんです。

photo by naokichi hasebe

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