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SPECIAL対談 鈴木達郎×高木優一
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日本は金融経済の知識がアジアで最下位

高木優一:
確かに私の商売のテリトリーにも、金融経済にあまりにも無知なゆえ、大変な損をしたり誤った決断をする人が大勢いますよ。
鈴木達郎:
そうでしょう。不動産の権利の話、相続の話など、ちんぷんかんぷんだと思いますよ。しかし、細かい情報は得てなくても、また知識はなくても、後で調べるとか、判を押す前にだれかに相談すればいいのに、それすらできないということでしょうね。何の疑問も湧かずに「ああ、こういうものなんだな」と簡単に判を押してしまう。
高木優一:
確かにお金の教育ってまったくこの国では不毛でしたね。どこか、「はしたない」とか「声高に語るものではない」とか、そのような意識が働いてしまうのでしょうね。
鈴木達郎:
たとえば、労働所得ではなく金融所得をアメリカと日本で比較すると、あまりの違いに愕然とします。アジアで見ても、金融経済の知識は最下位です。投資の額で捕らえると断トツに低いです。いくら国が投資にお金を向けさせようといろいろな施策を立てても、基本的な知識がまったく足りていないわけですから、わかりづらい話をされ、煽られてもとても乗ろうとは思わないですね。しかし、いくら貯金額が多くても投資が増えないことには金融市場は動きません。日本は経済的に縮こまっていくばかりです。ですから、金融経済教育は大事なんですよ、と声を大にしたいのです。
高木優一:
おっしゃる通りですね。
鈴木達郎:
国が投資だ、投資だと言うからやってみようかと手をつけたとします。経済活動は波があり、どこかで損をする時期が必ずきます。でも長いスパンで見れば右肩上がりになるのは自明なのです。知識がない人は投資を短期でしか捉えられませんから、「損しちゃったよ、どうしてくれるんだ」と大騒ぎになる。そうなると、「もう二度とやらない」とますます近づかなくなってしまうんですね。知識があり投資のセオリーを見極められれば、100万円が80万円になっても焦ることはないはずなんです。そういうこともあるよね、もっと待てば120万になるかもしれないな、所持金すべて一気に100万円投資するのではなく、たとえば半年に1回とか3ヶ月に1回の割合で50万円づつ買えばいい、という知恵も生まれてくるわけです。我々の親世代は高金利でした。こつこつと貯金をしていけば確実に増えたんです。最も金利が高かったときは7%という時代もありました。十年預けていたら倍になる。そういう時代に社会を生きた人は、当然貯金が一番です。その親たちの下で育ったのが我々ですので、どうしても「貯金しておきなさい」という教育を受けることになるんですね。
高木優一:
今の時代、いくら銀行にお金を預けてもまったく増えないですからね。寝かせておくだけです。いや、本当に若い世代への金融経済の知力強化は必須だと実感しました。
今日はどうもありがとうございました。

photo by naokichi hasebe

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