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SPECIAL対談 近藤崇×高木優一
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生活感あふれる死の現場

高木優一:
孤独死というのは、生活感がそのまま死の現場に残されているのでよけいにやりきれない思いにかられますね。
近藤崇:
その通りですね。先般の案件でも夕食の準備がなされている状態で吐血して亡くなったという状況でした。三日後に発見されたのですが、まさにこれから食事をするというそのリアルな生活感が現場に残されていました。遺族の方は北関東のお住まいで、後片付けをしようにも部屋など見たことがないし、銀行預金や不動産の処分もどうしたら良いのかがわからないということで、49日が終わった時点で相談に来られました。
高木優一:
確かに、遠くで暮らしている身内にはどう処分したら良いのかなんてわからないですよね。
近藤崇:
冷蔵庫やらテレビやら、昨日まで普通に生活していたわけですから、ありとあらゆる物が残っているわけです。そういう状況なので、遺品整理業の方たちとは頻繁に連絡を取り合っています。連携してうまく棲み分けてはいますね。物を整理するか、財産や権利を片付けるか、差はそこだけで、やっていることは非常に近いですね。
高木優一:
孤独死といったって別に家族と疎遠になっているケースばかりではないですよね。いつもは普通に交流があるのだけれど、たまたま独りでいるときに亡くなってしまったというような場合も当然ありますよね。
近藤崇:
もちろん、それが普通です。いわゆる寂しさの極限のような孤独死はレアだと思います。
高木優一:
未婚率、離婚率が上昇している中、とても必要とされている仕事のような気がします。これからますます需要といったら語弊があるかもしれませんが、多くなっていくことは間違いないですね。でも、一般の方は、遠方のあまり接点のない身内のおじさんが亡くなったと連絡があって、唯一の親族は自分だけだったとしても、その処分なり手続きなりをだれに頼んだらよいのかをご存知の人はまれだと思いますよ。ま、知り合いの税理士に相談してみるかとなるんでしょうね。
近藤崇:
そうでしょうね。弁護士さんや税理士さんから回ってくることも多いですよ。
高木優一:
これから独り暮らしがますます多くなっていく世の中、先生のような司法書士さんは本当に出番が多くなると思います。本日はありがとうございました。

photo by naokichi hasebe

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