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SPECIAL対談 都野賢一×高木優一
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ご家族の話を真摯に聴く姿勢

高木優一:
自分たちでとても手におえないご遺体をきれいに処理してくれるのであれば50万円ぐらいは払うかもしれないですね。
都野賢一:
遺品なども業者が引き取る場合が多いですね。普通ではない死に方をした場合、やはりご家族も遺品を引きとりたがらないですから。
高木優一:
改めて納棺師のお仕事で誇らしさや、やりがいを感じるところをお聞きしたいと思います。
都野賢一:
やはり、喪主さんたちの辛さを少しでも和らげることができる職業なんだと、9年間この仕事をやってきて感じています。ご家族のいろいろな悩みや課題を私に打ち明けていただくようなこともあります。身内には言いづらいことも私には言いやすいということなのでしょうが、ご家族とそのような親密な関係を作り上げられるかどうかが我々にはとても大事なことだと思います。
高木優一:
聞く力ですね。
都野賢一:
そうですね。ただ、納棺師の中には葬儀屋さんに言われたことだけを儀礼的にやるだけの方もいます。
高木優一:
大往生で亡くなったおじいちゃん、おばあちゃんであれば、家族みんなで和やかに送ってあげたいと思うのが人情だと私などは思いますけれど。
都野賢一:
大往生で死んだのだから何もしなくていい、って家族もいますよ。そういう場合でも、やはり口は閉じた方がいいですよというようなアドバイスをすることは心がけています。
高木優一:
この仕事に向く人、向かない人はやはりありますよね。
都野賢一:
それはありますね。亡くなった方に向き合うことができない人はやはり向いていないと思います。怖い、汚い、悪いものがうつるのではないかなどと感じてしまうんでしょうね。
高木優一:
これから日本は少子高齢化が進み、独身のまま亡くなる方も増えていくのは間違いないことだと思います。納棺師の目から見て、これからの日本人は死にどのように向かい合っていくのでしょうか。
都野賢一:
確かに孤独死などは多くなってくると思います。たとえば、ケアマネージャーの方とコミュニケーションを綿密に取れるような状況にし、自分が死んだ後の段取りを頼んでおくという方も多くなっていますし、これからも増えていくでしょうね。現に、葬儀会社でもケアマネさんにさかんに働きかけ、商売にしようという動きは活発になっていますね。ケアマネさんを仕切っている会社に営業をしているケースも増えています。
高木優一:
そうですか。今日は我々の知らない納棺師さんの世界を聞かせていただきありがとうございました。

photo by naokichi hasebe

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