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SPECIAL対談 小松拓也×高木優一
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大きな日本人の中国に対する感覚のズレ

高木優一:
芸能市場も中国は巨大なわけだ。中国芸能市場へのコーディネート業もやられるということですね。
小松拓也:
そうは言っても、いきなり日本人がハリウッドに行っても活躍できないのと同じように、いくら市場が大きいといっても、行けばすぐに成功するなどという事はありえません。地道に草の根的な活動をしたり、最低限の中国語は覚えなければならないでしょうし、市場が大きく魅力的だからといって簡単に切り込めるというわけではありません。もっと長期的な目線に立ち、努力もし、互いに共存共栄を図るようなポジティブな視点を持ちながら入り込んでいかなければならないと思います。
私が23年間かけて身に付けた経験やノウハウを提供しながらコンテンツを一緒に作るなど、共同で仕掛けていくことができればいいなと考えています。
高木優一:
日本人があまりにも中国のことを知らないゆえに、今言われたように、中国に行けば映画など簡単に出られると思ってしまうんでしょうね。
小松拓也:
近年、中国本土におけるエンタメコンテンツの成長は目覚ましいものがあります。少し前ならば音楽系のアーティストは台湾から、映画のスターは香港から入り込んで人気が爆発するというのが主流でしたが、最近は本土出身のアーティストや俳優が世界に飛び出して活躍するという機会も増えています。
一方でそういった中国市場に日本人の芸能人が進出するならば日本のエンタメ人気が高い台湾や香港を経由して中国本土に入っていく戦略は現在でも一定の効果があると考えています。現場レベルでの仕事の進め方も台湾や香港は中国本土よりも日本のスタイルに近いので日本の芸能人にとっても適応しやすいという側面もあります。
もちろん直接中国本土を目指した活動を望んでいるという日本の俳優や歌手も増えてきているので今後は益々交流が加速化していくことになるのではないでしょうか。
高木優一:
中国の一般人はどのような生活基準なのかも我々はよく知りません。
小松拓也:
格差がはっきり分かれているという点では、アメリカに近いかもしれません。街の区画や遊ぶエリアが完全に分かれています。でも、日本で爆買いするのは以前はアッパー層でしたが、今はミドルクラスが主体となっていますね。
高木優一:
中国は今後、どのような変貌を遂げていくのでしょうか。
小松拓也:
ITの技術の先進国家になっていくのは間違いないでしょうね。日本の技術水準を凌駕するいろいろなプロジェクトが動いています。リアルな中国の情報をもっと流すと日本人の誰もが危機感を持つと思いますよ。上海や北京の中間層の所得水準は完全に日本を抜いていますし。100平米以上の住宅に住んでいるのが当たり前ですから。
高木優一:
日本人の中国に対する感覚のズレは相当なものですね。本日はありがとうございました。

photo by naokichi hasebe

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