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SPECIAL対談 伊勢田篤史×高木優一
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デジタル終活は高齢者だけのものではない

高木優一:
昨年秋ごろに、亡くなった不倫相手のスマホから不倫が発覚し、出演番組を降板させられた方がいらっしゃいましたが、これもデジタル遺品の事例といってもよいのでしょうか。
伊勢田篤史:
そうですね。まさにデジタル遺品トラブルの典型例のように思います。
高木優一:
「主人が先日亡くなったのですが、生前何か一生懸命パソコンで取引していたようなんです、遺族はだれも主人が何をやっていたのかがわからない、一度、パソコンの中を見ていただけませんか、パスワードが設定されていて誰も開けられないのです」といった類の案件は結構ありますか。
伊勢田篤史:
そうですね。データ復旧業者の方にお話を伺うと、故人のパソコン等のログインパスワードを解除してほしいという事案が増えてきているようですね。
高木優一:
パスワードを解除できる業者がいるんですか。
伊勢田篤史:
パソコンに関しては、比較的容易なようなので、結構いらっしゃるのではないかと思います。もちろん、別途費用がかかります。たった5秒の時間を惜しまずに紙にメモを書き残しておけば、そんな無駄な費用をかけずに済むんですけれどね。
高木優一:
スマホはどうなんですか。
伊勢田篤史:
スマホは、パソコンに比べると難しいとされています。例えば、iPhoneの6桁のパスワードの解析は、非常に難しく、現在の日本国内では事実上不可能なようですね。
スマホの場合、だいたい10回ぐらいトライするとデータが消去されてしまうという設定にされている方が多いようなので、家族の方がこれだろうというパスワードを2~3回トライして、それで開かなければ業者を呼びましょうというご案内をしています。
つい先日、カナダの仮想通貨の会社で社長が急死したニュースが話題になりました。会社の仮想通貨のシステムの管理パスワードを社長しか把握しておらず、残された従業員だけでは、システムを立ち上げることができなかったようです。その結果、顧客の160億だか200億だかの財産が引き出せなくなってしまったようです。
高木優一:
お金の規模は別にしても十分に起こりそうな話ですね。
伊勢田篤史:
一般的な「終活」は、天寿を全うして死ぬというイメージが強いように思います。一方で、デジタル終活は、主として突然死を想定したものと考えています。人間、いつ何がおこるか分からない。万が一のときでも、周りの方へ迷惑をかけないよう手配する必要があるかと思います。
デジタル終活は、なにも高齢者だけのものではないのです。若い人だって明日何が起こるかわからないですよね。パソコン・スマホを使っている全ての世代に、デジタル終活に取り組んで頂きたいと考えています。
高木優一:
なるほど、現代に生きる人は、若者であろうが絶対にデジタル終活はやっておくべきですね。
本日はありがとうございました。

photo by naokichi hasebe

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