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SPECIAL対談 荒川香遥×高木優一
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人を助けたいという根源欲求

高木優一:
その他に家族関係の希薄化はどのような場面でお感じになりますか。
荒川香遥:
やはり相続の問題で顕著ですね。全体的に家族や親戚の絆がおかしくなっているから、以前にはなかったトラブルなども多くなってきているんでしょうね。
さきほどお話しました宗教年鑑を見ますと、お墓の承継者はいますかという問いに対し、いないという回答が41%ありました。シビアに数字にも表れているような気がしますね。
高木優一:
宗教観が希薄化しているんですかね。
荒川香遥:
というより、葬儀や法事の世界でも合理化が進んでいるような気がしています。死んだあとの面倒はできるだけ合理的に済ませたい、回避したいと思っているんでしょうね。でも、葬儀や法事は合理の枠組みで捉えるものではないですよ。
高木優一:
都心の寺院でも墓じまいをしたいという申し出があるというのは、私としてはショックでしたね。
荒川香遥:
後継者がいないから仕方がないということなんでしょうね。子供や孫にあまり負担をかけたくないという気持ちが強くなっているのだと思います。
高木優一:
先生が家業を継がなかったのはどのような理由からですか。
荒川香遥:
単純に継げと言われなかったんですよ(笑)。父親も強要しようとは考えていなかったようです。
高木優一:
それでは、弁護士を目指したきかっけは?
荒川香遥:
自分の根源的な想いのところで、困った人を助けたいという欲求はありましたね。小学生の時に書いた卒業文集を見ますと、介護施設の職員になりたいって書いてありました。
高木優一:
へえ、そうなんですか。その頃から人にために役に立ちたいと。まあ、普通のサラリーマンだったら社会に対して何かの役に立ちたいという欲求はありそうですが、個々の人のために役に立ちたいとまでは考えていないと思いますよ。
荒川香遥:
そうなんでしょうかね。
高木優一:
弁護士としては宗教がらみの事案に特化しているわけではないとおっしゃいましたが、ご著書(「Q&A宗教法人をめぐる法律事務」、「事例式 寺院・墓地トラブル解決の手引き」)も、宗教と法律に関するものとなっていますので、今後も一般的な法務事案と共に、宗教絡みの法務のプロとして手腕を発揮していただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

photo by naokichi hasebe

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