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SPECIAL対談 伊勢田篤史×高木優一

親族が亡くなった。でも当人の写真が手元に1枚もなく、本人が遺影として希望していた写真はパソコンの中にある。パスワードがわからないから開けられない。どうしよう!このようなデジタル終活のトラブルは、今後ますます多くなると思います。日本デジタル終活協会の代表理事で、弁護士の伊勢田篤史さんに、デジタル終活の現状、そしてトラブルの事例と対策を伺いました。

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デジタル終活とは?

高木優一:
今話題の「デジタル終活」なら、この人ということで、本日は弁護士の伊勢田先生にお越しいただきました。あれから2年ほど経ちましたが、先生以外にそのような活動をされている方はいますか。
伊勢田篤史:
最近では、デジタル終活の普及にご協力いただける方が少しずつ増えていますね。デジタル終活の輪が広がって嬉しい限りです。
高木優一:
そもそもデジタル終活とは、具体的にどのような活動なのかを説明いただけますか。
伊勢田篤史:
デジタル終活とは、「デジタル遺品」に対する死後の取り扱いについて考え、遺族等が適切に対応できるよう手配する活動、と定義しています。この「デジタル遺品」とは何かと申しますと、端的にいえば「デジタル環境(機器)を通じてのみ、把握できるモノ」と表現できるかと思います。たとえば、写真。一昔前はフィルムで撮りましたので、現像しなければ見られなかったわけです。現像して紙焼きという形で保管されるもので、まさに「遺品」の典型例でした。ところが、今や写真は、スマホ等で撮ってデータで保存するのが主流で、プリントアウトまでするケースは少ないかと思います。今後、写真のように、元々「形のある遺品」だったものが、デジタル化の流れによって「形のないデジタル遺品」となるケースは、ますます増えてくるように思われます。
高木優一:
なるほど。確かに、最近では、写真を「物」として保管していないですよね。データでしか保存していないな。
伊勢田篤史:
データについては、「オフラインデータ」と「オンラインデータ」の2種類に分類することができるかと思います。「オフラインデータ」というのは、パソコンやスマホ上に存在するデータですね。ネットに繋がっていない状態でも見ることができるデータとイメージしていただければと思います。一方で、「オンラインデータ」というのは、インターネットサービスのアカウントですね。SNSやAmazon等のアカウントを想像していただければいいかと思います。
デジタル終活というのは、万が一のときでも、このようなオフラインデータ、オンラインデータといった「デジタル遺品」をしっかりと家族に引き継いでいくという活動とも言えますね。
高木優一:
なるほど、よくわかりましたが、でも、これがなかなか簡単にはできないですよね。

photo by naokichi hasebe

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