電話相談
> >

昨年末亡くなった父親名義の不動産を姉妹で相続します

(神奈川県川崎市幸区在住S様)
姉妹2人で昨年末亡くなった父親名義の不動産を相続することとなりました(母はすでに他界しています。)。

3か所に不動産があり、姉妹共有で相続することになります。

将来的には共有状態を解消し、単独で私の名義にすることが一番いいと考えていますが、仮に姉が分筆や売却に消極的な場合はどうすれば良いですか?

私としては共有のままでは処分するにもできないし、きっぱりと2つに分割や売却を希望しています。

もしこのまま話し合いが上手く行かない場合は裁判で共有物分割請求ができると聞きましたが、その請求をすれば必ず分割や売却が認められるのででしょうか?

裁判をしたとしても認められない場合もあるのですか?
添田 樹一弁護士の回答

(川崎つばさ法律事務所代表)

Xさんの姉であるYさんが分筆・売却に消極的な場合

問題の共有不動産は父親が亡くなったことにより、その子であるXさん・Yさんが相続して二人の共有に属することになりました(民法900条4号、898条、896条本文)。

したがってYさんが共有不動産の分筆・売却に消極的な場合であって、遺産分割協議(907条1項)が整わないという場合、遺産分割の調停か、または遺産分割の審判によって、分割を求めることになります(民法907条2項)。

ですので、まずは、遺産分割協議→調停→審判の順に手続を踏みましょう。基本的には、この過程で当事者間で話し合いが整うことが多いです。

また、相続人間での遺産分割前においては、個々の遺産について共有物分割請求訴訟をすることができません(最判昭和62・9・4家月40巻1号161頁)。

この意味からも、まずは遺産分割の手続を先行させましょう。


2 共有物分割請求訴訟について

では、次にさきほど述べた遺産分割の手続が全て終了した場合を前提に共有物分割訴訟について説明しますね。

共有物分割請求において、共有関係を解消する手段としては明文(民法258条1項、2項)で2つ挙げられています。

1つは現物分割といって、共有物が一筆の土地上にある外形上ひとかたまりの数個の建物について、共有者がそれぞれ各個の建物を単独所有する形で分割するというように、共有物を構成する財産一つ一つについて、その取得者を決めるという手段です。

もう1つは換価分割といって、共有物を、競売手続を通じて換価したうえで、その競売代金をその持分割合に応じて各共有者に分配するという手段です。

これらに加えて、判例上、このような明文上の分割方法以外に価格賠償という手段での分割方法が認められる場合があるされています。

すなわち、判例は「共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるものというべきである」と述べています(最判平成8・10・31民集50巻9号2563頁)。

ものすごく難しいことを言っているように思えますが、この判例は要するに、様々な事情を判断したうえで、共有者のうちの誰かにその共有物を取得させることが妥当だといえて、しかもその取得者がその共有物を取得する対価として、他の持分権者にその持分権者の持分価格を支払う能力があるというような場合には、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させるという方法で分割することができるということを述べているのです。

このように共有物分割訴訟を提起すると、大きく3つの判決のいずれかの判断が出されることになります。今回のケースでも、Xさんが共有物分割訴訟を提起すれば、原則として、①現物を分割するか②競売にかけてお金に換えて分割するか③どちらかが相手の持分を買い取る形にするのか、いずれかで共有状態を解消するような判決がでることになるでしょう。
不動産・相続お悩み相談室

かわさきFM(79.1MHZ)
15:20-16:00
かわさきDOWNSTREAM
(夕方の番組内)
[6月の放送日] 

次回放送予定

6月27日(木) 16:15~16:45

「退職代行業務の現状」

[ゲスト] 小澤亜季子(弁護士)

→視聴方法、過去放送分はこちら