電話相談
> >

父の内縁の妻

(神奈川県川崎市麻生区在住K様)
今年の初め、父が亡くなり不動産を相続しました。

相続した物件には内縁の妻が住んでおり、父の死後引越すつもりはあるといいながら既に数カ月経過していますが、全く引っ越す様子がありません。

一日も早く引っ越して欲しい為、何らかの法的手段か強制力のある対応は出来るでしょうか。

相続人は母、兄、私の三人で、相続登記はまだです。
本間 正俊弁護士の回答

(多摩区役所前法律事務所代表)

お父様所有の不動産でお父様とその内縁の妻とが暮らしていたということであれば,お父様と内縁の妻との間には黙示の使用貸借契約が結ばれていたという認定になる可能性があります。

そうしますと,内縁の妻は使用借権という権利をもって居住を継続することができ,その使用貸借契約が終了するまで居座ることができるのが原則ということになります。

使用貸借契約は,貸主の死亡によって直ちに終了するわけではありません。

まず期間の定めがあれば,期間満了まで続き,期間満了で終了しますが,本件のような場合には期間の定めなどをわざわざしていることは無いと思います。

期間の定めが無い場合,使用収益の目的の定めがあったか,目的どおりの使用収益があったか,目的どおりの使用収益をするのに足りる期間が経過したか,といった判断基準で,契約が終了しているか・終了させることができるかを判断していくことになります。

過去の裁判例では,内縁の期間や実態,生前の態度等を総合的に考慮し,内縁の妻が死ぬまでその不動産を無償で使用させる旨の使用貸借契約が成立していたと認定したり,相続人からの明渡請求を権利濫用と認定したりして,相続人からの明渡請求を棄却した例があります。

従いまして,内縁の妻側が争ってきた場合には,事情によってはかえって居住の継続が裁判所によって認められる結論になってしまうこともあります。

一方,そもそも内縁関係にあるといえるのか,黙示の使用貸借契約が結ばれていたといえるのか,その目的はどうだったのか,といった事情のいかんによっては,逆に内縁の妻側に使用借権が認められず,単なる不法占拠ということになる場合もあります。

この場合には,所有者である相続人は明け渡しの訴訟を起こして強制執行することで,裁判所の力で追い出すことができます。

また,ご相談にあるように内縁の妻側が積極的には争わず,立退く方向で検討してくれるのであれば,使用貸借契約を合意によって終了させて立退いてもらうことも可能かもしれません。

実際には,訴訟を起こして強制的に立退かせようとしても,裁判や強制執行には手間も時間も費用もかかりますので,「早期に立退いてもらう代わりに引越代は相続人側が出す」といった和解的解決の方が合理的なこともあります。

弁護士にご相談いただければ,ご事情を詳しく伺うことによって,訴訟の行方がどうなるかある程度の見通しをたてることができ,それを前提にどういった交渉が可能か検討することができます。

甘い見通しに基づいてラフな交渉をはじめてしまい,こじれてかえって時間や費用をかけることになってしまわないよう,弁護士への早めのご相談をおすすめいたします。
不動産・相続お悩み相談室

かわさきFM(79.1MHZ)
15:20-16:00
かわさきDOWNSTREAM
(夕方の番組内)
[3月の放送日] 

次回放送予定

3月28日(木) 16:15~16:45

「なぜ、飲食店は一年でつぶれるのか?」

[ゲスト] 石﨑冬貴(弁護士)

→視聴方法、過去放送分はこちら