電話相談
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兄がアパートで孤独死しました。

(神奈川県川崎市多摩区在住F様)
兄がアパートで孤独死しました。

緊急連絡先が弟の私となっているので警察から連絡があり、検死のために行きました。

兄は以前結婚しておりましたが、離婚し妻はいません。

その妻との間に息子が一人いますが、疎遠になっており現在どこにいるか知りません。(死んだ兄も知らないはずです。)

腐乱がひどいため、最終的な身元確認はDNA結果待ちだそうですが、それまでは身元不明扱いだそうです。

こういうものなのでしょうか?

葬儀は、兄弟でもできると警察が言うので、、近日中に火葬するつもりです。(この辺の費用負担は私がするつもりです。)

兄の借りていたアパートのオーナーのことを考えると遺品整理ぐらいはしないといけないだろうと思っていますが、部屋の原状回復、家賃補償等まで全額負担しなければいけないのでしょうか?

DNA鑑定結果がでないと最終的な本人確認ができないということなので、結果がでたら兄の子に連絡したいとおもっていますが、鑑定結果待ちでは法的にまずいのでしょうか?

あと兄の子を探す良い方法もお教えください。

変な相談でごめんなさい。

どこに相談すればいいか分からずこちらでご相談させてもらいました。
本間 正俊弁護士の回答

(多摩区役所前法律事務所代表)

突然のことで驚かれたと思います。

今回,アパートの契約書に緊急連絡先としてお名前があったことで,オーナーから警察へ情報提供があり,その結果警察から関係者ということで連絡があったものと思います。

お兄様の契約していたアパートで人が亡くなっていたとして,お兄様ではない人である可能性は排除し切れませんから,腐乱していて顔等もわからないということであれば,亡くなった方がお兄様であるかどうかをDNA鑑定等の方法で確認するまでは,亡くなったことにすらならないと思います。

ですので,以下に述べる相続の話しは,全て亡くなった方がお兄様と確認が取れてからのことになります。

兄弟姉妹は,第2順位の子,第2順位の直系尊属(父母や祖父母)に続く第3順位ですから,子や父母が亡くなっていたり相続放棄をしたりしない限り,相続人にはなりません。

お兄様に息子さんがいらっしゃるということであれば,その方が原則として全てを継ぐことになります。

この「全て」には,当然負債も含まれます。

今回,アパートでの孤独死ということで,未払い家賃,清掃の費用,家財道具の撤去の手間等が考えられますが,これらもすべて法律上は息子さんが承継するものです。

したがって,法律上,オーナーとしては,請求先として息子さんを探すしかないことになります。

オーナーは息子さんに対して上記の請求をする権利がありますので,弁護士に依頼すれば戸籍を追うことが出来ます。

日本の場合,通常は生まれると親の戸籍に追加されますので,お兄様の戸籍を追えばどこかで必ず息子さんにつながり,その戸籍の附票をとることで,住民票上の住所地がわかります。

住民票上の住所地に住んでいない場合は,なかなか追跡は難しいのですが,行政サービスを受ける観点からも通常は住民票上の住所地で生活していることが多いので,大概居場所はわかります。

以上のとおりですので,こちらはなにもせずオーナーが勝手にやればいい,というのが法律の建てつけということになります。

しかし,オーナーからの連絡を受けた息子さんが相続放棄をし,直系尊属の方々も全員が相続放棄したり既に亡くなっていたりした場合には,第3順位の兄弟姉妹にも回ってきます。

この場合も,相続放棄をしてしまえば,はじめから相続人ではなかったことになりますので,オーナーからの請求を受ける立場ではなくなります。

死亡や相続放棄によって法定相続人がいない状態となってしまった場合,オーナーとしては請求する先を失ってしまいます。

もし被相続人(亡くなった方)に財産があれば,家裁に相続財産管理人の選任を申立てて,管理人に対して請求し遺産から回収することもできます。

財産も何もなく,ただ負債だけを残して亡くなったようなケースですと,対策をしていないオーナーは泣き寝入りするしかありません。

賃貸物件のオーナーは最初からこのようなリスクを負っています。

裏を返すと,リスクに気がついてさえいれば,予め十分な対策をとることができます。

高額な家賃をとっておく,敷金や保証金といった金銭を予め預っておく,保証人や保証会社をつける,保険に入っておく,といった方法です。

ですので,ドライな言い方をすれば,オーナーはリスクを承知で物件を賃貸しているのだから何かあっても自己責任,というというのが法律上の扱いなのです。

これを踏まえて,もし緊急連絡先に名前を載せる際に,保証人にもなっていた場合,相続に関係なく,直接保証人に対して請求が来てしまいます。

これは相続したものではないので,破産する等しなければ免れることはできません。

この点はまずご確認いただいた方がいいと思います。

ところで,法律のドライな扱いではなく,お兄様が生前お世話になったオーナーさんにご迷惑をおかけしたくないとお考えでしたら,もちろん支払い等をすることは可能です。

これは,本来は相続人がすべきことを代わりにやってあげた関係になりますので,弁済による代位というものが起こって,オーナーの息子さんに対する請求権がこちらに来て,息子さんに対して請求できることになります。

この時点では,請求先としての息子さんの居場所を弁護士に依頼して戸籍から追うことができます。

しかし,相続放棄をされれば,請求先が相続順位でたらいまわしになり,結局自分自身まで相続が来てしまえば,債権者と債務者が同一人になって混同により債権は消滅してしまいます。

つまり,自腹を切ることになるわけです。

それで構わないということでしたらご自由になさっていただいて結構ですが,法律の建てつけは上記のようになっておりますので,ご理解された上でなさることをお勧めいたします。

また,上記はいただいた情報を元にご説明しているものですので,具体的な状況やお考え次第では別の方法をご提案することもできるかもしれません。

何かアクションを起こされる前に,一度弁護士にご相談になることをお勧めいたします。
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