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地主に老廃してるので買取請求権はないと言われました。

(神奈川県川崎市高津区在住S様)
母が旧借地権で借りている家ですが、空き家状態のままで老朽化が激しいため地主に返すことになりました。

その際、旧借地権は消滅したので更地での返却をと求められましたが、母には金銭的余裕がなく、全額負担するのはとても出来ないです。

地主には老廃してるので買取請求権はないと言われました。

この場合どうすれば良いのでしょうか?

困っております。
借地
本間 正俊弁護士の回答

(多摩区役所前法律事務所代表)

借地借家法の適用を受けず旧借地法の適用を受ける旧借地権ということですと,確かに建物の「朽廃」によって借地権が消滅してしまいます。

借地権が消滅する以上,借地権の効力である建物買取請求権を行使することもできなくなります。

現状は,地主さんの土地上に,お母様所有の老朽化した建物ないしは建物が朽廃した後の建材が,占有権原なく置かれてしまっている状態であり,地主さんからすれば不法占拠状態ですから「更地にして返せ」というのは正当な要求ということになります。

しかしながら,お母様に更地にする資力がないとなると,まずお母様としてはどうすることもできません。

一方で地主さんの方も,お母様の承諾もなしに勝手に建物を取り壊して更地にすることはできませんので,こう着状態になってしまいます。

これを打開するには,地主さんの方で建物収去土地明渡請求訴訟を提起して勝訴し,裁判所からお母様に明渡命令が出れば,これに基づいて業者を使うなどして更地化ができます。

この間地代が支払われていなければその未払い地代や更地化にかかった費用等は地主さんからお母様に請求されることになります。

このときになって,なおお母様の資力がなければ”無い袖は振れない”ということで,結局地主さんは更地にはできたもののかかった費用等は回収することができません。

上記訴訟や引き続く強制執行にも費用や時間がかかりますので,地代が未払いになって回収できなくなるリスクを考えれば,地主さんとしてもなるべく早く更地にして,他の用途に使う方が利益が大きいと考えることもあります。

以上を踏まえると,極端な話し,お母様としては資力がないことを理由に開き直ってしまえばよいことになってしまいます。

とはいえ実際には,建物が朽廃するくらい長い間貸す側借りる側として関係が続いていたのですから,そうそう冷たい態度をとるのも憚られるかと思います。

そこで,折衷案として,お母様からは地主さんに対して建物取壊しの承諾を与え,地主さんの方で業者を手配して更地化を実施し,お母様はその費用について可能な限りの協力をする,というのが双方にとって合理的な選択ということになります。

問題は,このような交渉は借主ご本人からはなかなか難しいという点です。

弁護士が代理人として交渉することで納得してもらったり,地主さん側が弁護士に相談して納得したり,といったケースが実際には多いです。

上記は法律に基づく解決ですが,それとは別の方法も考えられなくはありません。

地主さんがその土地をずっと持っていたいということでなければ,朽廃した建物が残った状態のまま土地ごと売却してしまうという解決方法もあります。

この場合,地主・借主・買主の3者の微妙な利害をうまく調整する必要がありますので,優れた不動産業者に間に入ってもらう必要があります。

また,地主さんと感情的にもつれてしまっては利害調整は困難になりますので,なるべく早くに介入してもらう必要があります。

いずれにしましても,このままただ時間が過ぎてしまうのは,開き直りに近い状況になって関係を悪化させるだけですので,なるべく早くご相談いただいて具体的な状況を確認し,どのような方法がとりうるのかを検討させていただければと思います。
不動産・相続お悩み相談室

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[ゲスト] 稲葉治久(弁護士)

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