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借地権の相続について質問します。

(神奈川県川崎市高津区在住A様)
親父から相続を10年前に受け祖父の代から3代目、我が家は借地上に家を建てて50年ほどになります。

しかし一人息子は近くに家を建てて住んでいるので、私が死んでも借地上にある家には住みません。

借地に住んでいない状態で家だけ残るのですが、その息子が死んだ場合はまたその子供たちに借地権が移るのでしょうか?

何十年も住んでもいない状態で借地権だけが相続され続けていくのが何となくおかしいように思うのですが・・・。

住んでいない家の借地料を払い続けるのであれば売却するか賃貸をしてお金を得たい気もします。
相続借地
田畑淳弁護士の回答

(弁護士法人アリスト溝の口法律事務所所長)

「借地権」は、建物所有目的での土地の賃借権または地上権のことをいいます。

「借地上に家を建てて」おられるということですから、賃貸借契約に基づく賃借権に基づき建物を所有されているとのことでしょうか。

借地権は、契約の期間が満了しても原則として更新されるなど、法律で厚く保護されています。

賃料の滞納が重なって契約を解除されたり、正当な理由に基づいて更新拒絶をされたり、といった例外的なことが起こらない限り、一方的に借地権を失うことはありません。

とはいえ両当事者の合意によって成立した契約であることに変わりはありませんから、地権者との合意で契約を終了することはできます(合意解約といいます)し、こちらから解約を早めに申し入れることで一方的に契約を終了させることもできます。

また、どなたかが亡くなって相続が発生する場合、原則として相続人は被相続人の全ての法的地位を承継しますから、賃貸借契約の当事者としての地位も相続人に承継されることになります。

したがいまして、契約は原則として子々孫々まで受け継がれることになり、お住まいにならなくても地代の支払義務だけが延々と残ってしまうという状況は十分に考えられます。

誰も住まない家のために地代を支払い続けるという事態への対策としては、大きく3つが考えられます。

第1の方法は、地権者と合意解約するか、解約の申し入れをすることで、契約自体を終わらせる方法です。

契約がなくなれば地代の支払義務もなくなります。

しかし、契約終了により建っている家は敷地の利用権を失うので、契約終了と同時に取り壊さなければならず、そうしないと不法占拠していることになってしまいます。

建物自体の耐用年数が限界にきていたりして、建物を取り壊してもよいという場合には、契約を終わらせてしまうのがよいでしょう。

建物自体を取り壊すのは忍びないといった場合には、他の方法として、建物の売却や賃貸を検討することになるでしょう。

第2の方法として第三者への売却を検討する場合、地権者の承諾が必要となりますので注意が必要です。

建物自体はこちらが所有しているものですので誰に売っても自由なのですが、建物は必ず土地の上に建っていて土地の利用権が必要となるため、建物を処分する場合には敷地利用権もセットで動いてしまうのです。

さらに、賃借権の譲渡を、賃借人に無断ですることはできないと法律で規定されているところ、借地上の建物を売却することは借地権の譲渡にあたりますので、地権者に無断で建物の譲渡はできず、地権者の承諾をもらわなければなりません。

建てかえを前提とする場合にはその点についての承諾も必要です。

第3の方法として、賃貸することが考えられます。

賃貸する場合は、売却する場合とは異なり借地権の無断譲渡にはあたりませんが、借地契約の中に「建物の賃貸を禁止する」という特約がある場合には、無断転貸(また貸し)ということになり、やはり地権者の承諾が必要となります(参考:浦和地裁昭和58年1月18日判決(判例タイムズ496-129))。

このような特約がなければ自由に賃貸することができますが、今度は大家として建物を管理する責任を負うことになりますので、それはそれで別途注意が必要になります。

いずれの方法も一長一短ですし、ケースに合わせてアドバイスできる点もあるでしょうから、まずはご相談いただければと思います。
不動産・相続お悩み相談室

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