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遺言書の代筆

(東京都中央区在住I様)
遺言書を封して印鑑を押した遺言書ではなくて、病院で他人(身内)が代筆した遺言は、有効ですか?

現在直筆で父がものを書ける状態にないのでどうすればいいか困っております。
相続遺言
浅野健太郎弁護士の回答

(弁護士法人ベリーベスト法律事務所代表)

民法は、遺言について、原則として遺言をしようとする人が自筆することを要求しております。

このような通常の方式による遺言を、民法では自筆証書遺言と呼んでいます。

ただし、病気などで字を書くことができず、至急遺言書を作らなければならない場合のために、厳しい要件のもとに、特別の方式による遺言(一般危急時遺言)も有効な遺言として認められています。

病院で他人(身内)が代筆した遺言が有効となるためには、この一般危急時遺言の要件を充たす必要があります。

具体的には、以下の要件を充たす必要があります。

① 証人3人以上が立ち会うこと。

証人は推定相続人とその配偶者や未成年は認められないので(今回でしたら、お子様とその奥様)、相続人とならないお父様の親戚、病院内の医師、看護師等に頼むとよいでしょう。

② 遺言者が、証人の1人に遺言の趣旨を口授(口頭で伝えること)すること。

遺言者が口が聞けない場合には、通訳人による通訳(手話など)によることもできます。

③ 口授を受けた証人が、これを筆記して遺言者又は証人に読み聞かせ又は閲覧させること。

遺言者や他の証人が耳が聞こえない場合には、通訳人の通訳(手話など)によることもできます。

④ 各証人が、その筆記の正確なことを承認したあと、署名・押印すること。

⑤ 遺言の日から20日以内に、証人の1人や相続人などの利害関係人が家庭裁判所に請求して確認を得ること。

確認は審判によってなされ、遺言した人本人の真意が記載されているかどうかを確認します。

⑥ 家庭裁判所が、⑤の確認に際して、遺言が遺言者の真意によるものとの認めること。

以上のすべての要件を充たした場合に限り、他人に代署させて作成したお父様の遺言は一般危急時遺言として有効なものと認められます。

ただし、以上のすべての要件を充たしても、お父様が病床から回復なされ、自筆できる状態になってから、6ヶ月間生存した場合には、特殊な状況は脱したものとして、一般危急時遺言は当然に失効するので、ご注意ください。
不動産・相続お悩み相談室

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