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SPECIAL対談 吉田義人×高木優一

本日のゲストは、元ラグビー日本代表の吉田義人さんです。選手時代は屈指のトライゲッターとしてその名を日本中に知らしめました。そして吉田さんが今力を入れているのは、ジュニア世代への推進です。ラグビーに対する熱い想いを語っていただきました。

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子どもたちにラグビーを指導する場が少なすぎる

高木優一:
本日は日本スポーツ教育アカデミーの理事長、吉田義人さんをゲストにお招きしましたが、そのような肩書きよりも、日本ラグビー会の重鎮としてその名を知らない人はいないでしょうし、さらにはかつてトライゲッターとしてそのプレイに胸を熱くされた方も多いと思います。しかし、今、国立競技場が満員にならない状況に陥っていると聞いています。
吉田義人:
1993年のサッカーJリーグ発足後以降から人気が低迷している実感があります。今おっしゃったように国立が満員にならない状態になっていますね。
高木優一:
我々の学生時代は正月のラグビーといったらチケットを取るのも大変というイメージがあります。ラグビーの人気が低迷した背景には、やはり子どもたちの注目度がサッカーなどに比べると相当に低いということが挙げられますか。
吉田義人:
人気スポーツかどうかの判断基準としては、子どもたちのどれだけの人数がそのスポーツをやっているかにかかわってきます。川崎市にサッカースクールはどのくらいあると思いますか。約80以上はあるようです。ところがラグビーのスクールは2つだけです。横浜市に至っては、野球は約300チーム、サッカーも約200チームはスクールがあると思いますが、ラグビースクールはわずか4つだけです。神奈川県という大きな括りで見ても、ラグビースクールはわずか20です。これが現状です。
高木優一:
そんなに差がありますか。
吉田義人:
子どもの頃にラグビーをやっていなかった人が、大人になって、あの激しく身体をぶつけ合うラグビーをやるのには相当勇気が必要かと思います。この日本スポーツ教育アカデミーを立ち上げたのは欧米のように、特定のスポーツに偏らず、いろいろなスポーツに楽しむ土壌を形成したいという想いがあったからで、サッカーも野球も素晴らしいスポーツだけれども、そればかりではなくラグビーも同じように素晴らしいスポーツなのだということを世代を超えて広く認知してもらいたいとの考えがあってのことです。
高木優一:
今の現状ですと、子どものころにラグビーをやりたいと思っても、近所にスクールなどないし、一体どこに行けば学べるの?って状況ですよね。
吉田義人:
1993年にJリーグが発足したあたりから、子どもたちが一番最初に行うスポーツとしてサッカーが日本中に浸透していきました。やっと立ち上がって歩けるようになったときから、ボールを蹴ることはできるけれどもボールを持ってパスをしたり投げたりすることはできません。だから、結局サッカーを一番最初にやり始めることになります。4歳児から受け入れます、プロのコーチもいます、というような宣伝をしてどんどん受け入れる。ところがラグビーのスクールで4歳から受け入れられるところはほとんどありません。

photo by naokichi hasebe

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