電話相談
> >
SPECIAL対談 今酒雄一×高木優一

今回はベリーベスト法律事務所の新進気鋭の弁護士、今酒雄一さんとB型肝炎の訴訟についてお話をうかがいました。複雑かつ難解なB型肝炎のメカニズムを熟知され、予防接種時の注射器の打ち回しで感染し苦しんでおられる患者さんの大変心強い味方であることを実感しました。

1  2  3

B型肝炎訴訟の難しさ

高木優一:
今酒先生はB型肝炎における給付金請求訴訟のスペシャリストですが、医療分野は専門用語も多いですし、疾患についても医師と同等ぐらいの知識が必要だということで、相当勉強されたのではないですか。
今酒雄一:
そうなんです。司法試験での勉強がほとんど活かせない分野なので、1から勉強しました。
請求するに当たって、訴訟手続きが必要ない制度であれば弁護士の出番はなくて済むのですけれど・・・
現実的に、ご本人が給付金の訴訟を行うというのは非常に難しくて、弁護士が代行せざるを得ません。
高木優一:
国に対して、国家賠償請求を起すということですね。
今酒雄一:
そうです。いくつかの要件がありますので、それを満たせば和解が成立し給付金が支払われることになります。
高木優一:
B型肝炎の患者さんは、子供の頃の予防接種における注射器の打ち回しによって感染してしまったケースが多いとお聞きしました。その打ち回しの責任は国にあるということですが。
今酒雄一:
予防接種法という法律に基づき、集団予防接種が強制されており、かつて、注射器の使い回しが行われていました。つまり、国が公権力の行使により加害行為に及んだということで、国が責任を負う形になります。
高木優一:
母子感染によってB型肝炎に感染したというケースもありますね。
今酒雄一:
はい。しかし、母子感染の場合は原則、給付金を請求できないのです。
高木優一:
そうなんですか。
今酒雄一:
ただし、母親が集団予防接種において感染したということであれば請求できます。
注射器を交換する旨の指導が行われなかったことについて、国の責任が認められているのは昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間です。
他方で、国は昭和61年から母子感染防止事業を始めており、そのため、母親が昭和23年7月1日以降に予防接種の打ち回しによりB型肝炎に感染し、母子感染防止事業の始まる昭和60年12月31日までに二次感染者が生まれている場合には、当該二次感染者も給付金請求の対象になります。
高木優一:
現在、B型肝炎に罹っている方は、かつての予防接種の使い回しが原因というのが大半なのですか。
今酒雄一:
幼少期に身体の中にウイルスが入ってきて、キャリア化しているという方の場合、その原因のほとんどは予防接種か母子感染ですね。
高木優一:
母子感染というのはどのような経路で感染するのですか。
今酒雄一:
少し医学的な話になりますが、胎児が産まれてくるときは身体のどこかに傷がついています。たとえば、顔をひっかいたりしたときの傷ですね。産道を通る時に、その傷と産道内の血液が接触することにより感染してしまうと言われています。
高木優一:
母子感染というのは、赤ちゃんが産道を通る時に起こるということですね。
今酒雄一:
そうです。

photo by naokichi hasebe

1  2  3