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SPECIAL対談 櫻井政人×高木優一

今回は、山形県の長井市と東京の大田区の連携を推進する事業に取り組む櫻井政人さんをゲストに迎えました。これからは地方の時代とも言われている中で、長井市の独自の取組みを紹介します。

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大田区と長井市、連携実現の経緯

高木優一:
東京の大田区と山形県の長井市が協力関係にあるということですが、具体的にどのような連携をされているのですか。
櫻井政人:
公的連携としては、防災連携協定と言って、災害が起こったときに双方で助け合いましょうという契約を結んでいます。両市がこのような連携を結ぶようになったきっかけは、10年前に遡ります。私が長井市の新市長とたまたま知り合ったのが10年前でして、その当時の長井市は財政再建の真っ只中でした。前政権から引き継いだ負債がかなりあり、そのため新しい事業が何もできず、緊縮財政を敷くしかない状況でした。しかし、新市長は、市の5年先10年先のことを考えると、このままでは立ち行かなくなる、物を売ったり人を動かしたりする基地、観光客を誘致する拠点を都心に作ったらどうかと考え、そのお手伝いをしてくれないかと頼まれたのがそもそものきっかけです。
高木優一:
それが10年前ですね。
櫻井政人:
長井市役所の外郭団体に第3セクターの財団法人がありまして、最初はそこの事務所を構えるというところから始まり、大田区の施設に安価で事務所を3年間置かせていただきました。4年目から民間の拠点を作り、5年目以降は長井市役所と財団法人を併設した事務所を蒲田に作りました。それが4年前のことで、ちょうど地方創生の交付金制度が始まったときで、交付金も活用しながらプロモーションの基地を次第にグレードアップさせていきました。
高木優一:
このような地方行政の東京事務所は霞ヶ関の近くに置き、国への陳情とか予算要求とかそういう役割を担うというのが普通ですよね。
櫻井政人:
そうですね。しかし、長井市長はもっと「売りに直接つながる」、つまりお客さんがいるところに拠点を持ちたいという思いが強くあり、あえて大田区の街中に事務所を構えたという次第です。大田区は現在人口が72万ぐらいなのですが、まだまだ伸び盛りの区です。商店街の数も食料品の売り高も東京23区の中では一番で、ご承知のように“ものづくり”の街でもあります。商業の面からも工業の面からも、これからまだまだのびしろがあるという判断で大田区に拠点を持つに至ったのです。
高木優一:
羽田空港もありますしね。大田区には他の市町村の事務所はあるんですか。
櫻井政人:
いえ、長井市だけです。県クラスなら別ですが、一市町村が拠点を東京に作るとなるとやはり予算面を考慮すると非常にハードルが高くなります。長井市の場合はいろいろ知恵を絞り補助金なども上手に活用し何とか実現にこぎつけました。市役所の東京拠点というだけではなく財団も一緒になっていますので、物も売れますし、企業のビジネスマッチングもできる、観光客も送れるといったいろいろな試みが可能なのです。民間企業ともどんどん連携してBtoB事業を推進していきたいと考えています。

photo by naokichi hasebe

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