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SPECIAL対談 杉浦弘文×高木優一
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大手不動産会社が手を出さない非効率な事案を解決する

高木優一:
所属しているメンバーの方々は、それこそ先ほどおっしゃったように弁護士や税理士、司法書士など士業の方はもとより、後日売却するためには測量士も建物解体の専門家も必要ですし、それぞれの分野のプロの叡智を結集し、連携していろいろな問題を解決していくのが最も適切な方法だと思います。
杉浦弘文:
その通りです。
高木優一:
杉浦さんが、このような空き家問題を何とかしたいと思い立ったのはいつ頃ですか。
杉浦弘文:
おととしぐらいから空き家が問題視されましたが、民間企業や宅建協会、役所等でも以前からも相談会を行ったりしていました。そのような場でお話をうかがって、先ほど述べたような相続人同士が他人同然で、売却を含めた活用が滞るというような事案が増えてきたなと感じてきたのは3年前ぐらいからですかね。
高木優一:
相続人同士の仲が悪いというのも問題ですが、相続人が認知症を患っているというケースも多くなってきました。これもまた厄介です。認知症患者の方が共有持ち分の中に一人入っただけで相続の機能そのものがストップしてしまいます。
杉浦弘文:
かつて私も大手不動産会社に籍を置いていましたが、そのような厄介な事案が持ち込まれても対処できなかったですね。一人の営業マンが交通費をかけて宮城県に行き、熊本県に行き、親族の調整をし、なんてとても不効率でできません。
高木優一:
大手の場合、非効率で面倒な案件が発生したときはどうするんですか。
杉浦弘文:
話だけ聞いて、買い手を探しますと言って、そのまま机の中に書類は仕舞い込みそれで終わりです。
高木優一:
大手の不動産会社は、いつ数字に結びつくかが分からない案件には手を出しませんよね。また、弁護士が不動産のことを相談されても、不動産業界に精通したスタッフが横のつながりでいなかったら、大抵は「それは大変ですね」で終わらせてしまいます。
杉浦弘文:
空き家と言ってもいろいろあります。戸建てもあれば、マンションも、空き地もあります。先日は空きビルも扱いました。
高木優一:
ビルごと空いてしまったんですか。
杉浦弘文:
そうです。父親が所有していたのですが、入居者を募集しようにも兄弟の歩調が合わないんです。長男は募集したい、でも遠方にいる次男は処分したい。長男は自宅に近いので手放さずに家賃収入を得たい。で、その収入を兄弟で均一に分けるのかといえば、長男としては親父を看取ったのは自分なんだから、それ相応の額をもらいたい、と主張するわけです。そのうちにどんどんと時が経ち、今度はその不動産を相続した長男次男の子供たちがもめるということにもなりかねません。

photo by naokichi hasebe

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