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SPECIAL対談 近藤崇×高木優一
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登記業務だけでなく、その先を見据える

高木優一:
近藤先生の場合、銀行から連絡があって登記お願いします、というようないわゆる司法書士の王道のお仕事ではなく、独自の路線を歩んでいらっしゃいます。こうなると、同じ司法書士の看板を上げていても、まったく別の職業と言ってもいいくらいですね。
近藤崇:
お客さんからいろいろと教えてもらったというのが大きいです。もちろん、登記だけの仕事もないわけではないのですが、結局、それだけをやったところで何も解決しないのです。たとえば、独居の方が亡くなった場合、相続人が遠方だったり空き家が残っているとかの問題が必ずと言っていいほど起こってきます。登記だけやっておしまいでは、相続のそのような実質的な課題が何も解決できていませんから、相続人は途方に暮れるしかありません。ですから、その整理までやらせていただくというスタンスを取っているのです。この仕事をやり出してからお客さんからいろいろなご相談を受け、それではこれもやりましょう、それも引きうけますといった感じで仕事の幅が広がっていったというのが実感です。
高木優一:
一件一件の手間がかかりますよね。
近藤崇:
登記だけやるのであれば一日作業で済むところを、だいたい戸籍を集めるだけで2か月、不動産の処分や遺品の片づけで半年ぐらいはかかってしまいますから、手間はまったく異なりますね。不動産相続に深く関わるとすると、早くて3カ月、長くて半年ぐらいの長期スパンで取り組むことになります。
高木優一:
どちらかというと信託銀行の業務に近いような気がしますね。
近藤崇:
そうですね。ただ、信託銀行の場合は取扱い金額が全然違いますから。
高木優一:
億単位とか。
近藤崇:
そうですね。私の場合は目安としては2千万円から5千万円ぐらいのお客さんがメインとなります。
高木優一:
自宅と預貯金だけが財産という方が多いのでしょうか。なるほど上手く棲み分けはされているわけですね。
近藤崇:
この仕事をやりながらつくづく感じているのは、病院で亡くならない方がこんなにも多いのかという現実ですね。最近は、病院で亡くなった方の家族よりも、自宅で亡くなった方の家族からの依頼の方が多くなってきました。だいたい亡くなって49日ぐらい経った時に、仕事を始めさせていただくケースが一般的ですね。
高木優一:
相続というと、テレビドラマじゃないですけれど、醜い争いごとが絡むというイメージを一般の人たちは持ちますが、実際はどうなんでしょう。
近藤崇:
確かに争いごとが生じ、どろどろした人間模様が映し出されるという案件もありますが、ほとんどはそんなこともなく、地味で面倒な作業をこつこつとこなしていくというのが実態ですね。とてもドラマになんてなりませんよ。

photo by naokichi hasebe

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