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SPECIAL対談 荒川香遥×高木優一
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増えつつある退職代行

高木優一:
寺院がらみのトラブルと言うと、どのような事案がありますか。
荒川香遥:
遺骨を預けたが取りに来ないケース、年間管理費の支払が滞っているケース、その他、無縁墓地の改葬の手続などがあります。家族関係の希薄化は一昔前に比べて、やはり進んでいる印象を受けますね。
高木優一:
なるほど家族関係の希薄ですか。それによってお寺との付き合い方も変わってきていると思います。平成の30年は失われた30年だったのでしょうね。
荒川香遥:
そうなのかもしれません。
高木優一:
そもそもの話ですが、なぜ家族関係は希薄になっているのだとお考えですか。
荒川香遥:
それは失われた30年という話が出ましたが、経済発展と比例していると思いますね。また、コミュニティの解体とも結び付いていると感じます。
我々の世代以前は「そんな悪いことをするとバチが当たるよ」とか「お天道様が見ているよ」などと言われていました。つまり道徳教育が自然になされていたのです。ところが、ゲーム感覚でオレオレ詐欺などが席巻している現状を見ると、今の若い世代にはそのような道徳感覚はないでしょうね。
高木優一:
そのお話と関係あるかどうかわかりませんが、今は退職代行というお仕事もされていると聞きました。
荒川香遥:
はい。今の世代は、会社を辞める際に弁護士を立てるんです。
高木優一:
自分が会社を辞めるときに、弁護士や弁護士事務所を通して会社に窺いを立て手続きを代行してもらうということですか。自分から会社に「辞めたい」と言えないのでしょうか。
荒川香遥:
まあ、そうですね。最近、増えていますよ。
高木優一:
弁護士さんの新しい業務の一つとして定着していくんですかね。
荒川香遥:
弁護士に限らず、いろいろな業者や司法書士なども扱っていますね。
高木優一:
会社を辞めたいと考えているのだけれど、なかなか上司や経営者には言いづらい。そこで、弁護士や司法書士を立てて交渉を代行してもらう。それは、普通の大企業でもある話なのですか。
荒川香遥:
はい、もちろんあります。確かに、いわゆるブラック企業であれば弁護士などを立てた方がいいかもしれませんね。
高木優一:
そうか。辞めるなどと言い出したらどんな脅しに出てくるかわからないなどという上司だったら、間に弁護士が入ってもらった方が上手くいきますね。
荒川香遥:
ところが、ブラックとは無縁の普通の会社に勤めている人からの依頼も結構あるんですよ。

photo by naokichi hasebe

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