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SPECIAL対談「檀家さんとのさりげない会話から、各ご家庭の事情が見えてきます。」

臨済宗妙心派 曹渓寺 住職 坂本 承英
当相談室代表 高木優一
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僧侶が上から物を言うことは慎むべき。

高木優一:ここ数年、私も相続にまつわる悲惨な現実を目の当たりにする機会が増えてきています。世の中、荒廃しているなと感じることもあります。こちらの住職になられて33年経たれた現在において、家族のありようが変化してきたなと思われることはありますか。
坂本承英:さきほど申し上げたように、私どもの檀家さんなどを通して世間を眺めれば、今おっしゃられているような家族の荒廃や信心に対する薄まりなどを感じることはありません。そのような問題がマスコミなどを通じて世間の目に晒されやすくなったということなのではないでしょうか。昔から相続や墓守をめぐるトラブルや事件は多くあったのでしょうが、以前はそれが顕在化されなかったのだと思います。
高木優一:なるほど、そうかもしれません。仮に家族間における相続などで揉め事が起きた場合、住職はどのようなアドバイスをされますか。
坂本承英:私が「こうだから、このようにしなさい」とは言えません。家族の問題にそこまで深入りすることは私どもの立場ではできませんが、仮に墓守で揉めるようなケースがあれば、相談者に対して「あなたがお墓をきちんと見ていくことができるのならそうすれば良いし、見ることができないのならお遺骨を管理できる処に移した方が良い」というようなアドバイスは行うこともあります。
高木優一:たとえば檀家さんから、今まで父親がお寺さんとのいろいろな取り決めや行事を仕切っていたのですが、その父親が亡くなり、これからどのようにお寺さんとお付き合いをしていったら良いのかがわからないからアドバイスを欲しいというような依頼はありますか。
坂本承英:親が亡くなり残された長男、長女の方から、急に親が亡くなって今までお寺とどのような関わりをしていたかわからない、どうしたら良いでしょうという相談を受けることはあります。その際も、これまで親御さんがされてきたご様子をありのままにお話をし、そのようにされたら良いのではないでしょうか、という助言をさせていただいております。無理強いするような事はしない方がいいと思います。

photo by naokichi hasebe

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