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SPECIAL対談「檀家さんとのさりげない会話から、各ご家庭の事情が見えてきます。」

臨済宗妙心派 曹渓寺 住職 坂本 承英
当相談室代表 高木優一
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三歳の時の「内定」。

高木優一:息子さんである副住職へ、今後どのようにお寺を継いでもらいたいのか、住職の意向はございますか。
坂本承英:彼は一生懸命にやっていると思います。私の方からこうしてもらいたいといった事柄はそれほどありません。いろいろ教えると言っても一度に覚えられるわけではありませんので、経験を積んで少しずつ覚えていけば良いのだろうと考えています。
高木優一:そうなのですね。
坂本承英:檀家さんは、それぞれに家庭のご事情が異なります。私どもではお墓詣りをされる方にはお線香をお点けしていますので、そのような時に話をして、檀家さん一軒一軒のご事情を把握していき、ご様子が気になった時には「どうされましたか」「ご主人はいかがですか」「奥様はその後どうされていますか」などの声掛けをするようにしています。
私どもは檀家さんと少しでも会話を交わし、接点を持つことが大切だと考えておりますが、お寺によってはお線香だけを用意して、檀家さんは自由に点けてお墓に上がっていくというところもあります。それはそれで、檀家さんも気を使わないで済みますから良いのかもしれません。
高木優一:副住職とは日ごろからお付き合いをさせていただいています。僭越ですが、私の目から見ても、副住職はとても立派な跡継ぎになられるのではないかと感じます。
坂本承英:噂によると、大学三年の頃、周囲の仲間が皆就活にいそしんでいるとき、彼だけは「もう三歳のときに内定をもらっているから」と平然としていたという話を聞きました。
彼の場合、三歳の時に得度式という僧侶になる誓いの儀式を行いました。それがすなわち内定という風に理解していたわけですね。
高木優一:なるほど、それは面白いですね(笑)。
坂本承英:私は、よく彼の友人たちが寺に来たときには、話をしたり冗談を言ったりするんですよ。その中で、今の若者の考え、見方を少しでも理解できたらと思うのです。
高木優一:坐禅の会も継続的にやられていると聞きました。
坂本承英:寺に人が出入りしてざわざわとするような状況は好きではないのですが、坐禅会、写経会は月に一度、彼が主体となって行っています。以前は私が行っておりましたが、少し体調を崩し一時中断していたのをまた再開したという格好です。
高木優一:副住職のますますのご成長とお寺のご発展を期待したいところです。
本日はありがとうございました。

photo by naokichi hasebe

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