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SPECIAL対談 鈴木隆道×高木優一
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パラリンピックを成功させられるかどうか。世界中がそこに注目する

高木優一:
パラリンピックも以前よりは市民権を得たと言いますか、オリンピックと並列で考えられるようになったような気がします。
鈴木隆道:
それはそうなのですが、まだまだこれからです。この3年間で本当に日本でパラリンピックを成功させることができるかどうか、ここはとても大事なところです。8年前に私は「パラリンピックの成功なくして、オリンピックの成功はない」と謳いましたが、本当に障害者の方々と共生できる社会を作ることができるかという問いに答えることだと思います。世界中がそこに注目していますから。
高木優一:
そうですね。
鈴木隆道:
リオのパラリンピックは素晴らしかったですね。健常者と障害者が一緒に街へ出て、本当に分け隔てなく楽しんでいました。障害のあるなしなんて、まるで関係ない。日本人は正直、まだまだ障害者に対する偏見は根強くあると感じています。今度のパラリンピックでそれを克服できるかどうか。そこは大きなポイントですね。差別や偏見をなくして障害者の気持ちに寄り添ってサポートすることを、我々は「心のバリアフリー」と呼んでいますが、どのように実践していくのかをこれから考えていかなければなりません。実は私は北京パラリンピックのときに、思ってもいなかった感動に出会えました。当初は共産圏の国だから暗いんじゃないかというイメージを持っていたのです。ところが始まったらまったく違っていました。笑顔、笑顔、笑顔。全部が笑顔で埋まっているのです。暗さなど、まったくありませんでした。選手の笑顔も、それを応援している人の笑顔と拍手も実に素晴らしかったです。
高木優一:
それはやはり国民が皆、さきほど先生がおっしゃられたオリンピック、パラリンピックの精神を理解しているということなんでしょうか。
鈴木隆道:
おそらくそうだと思います。自分の住む都市でオリンピック、パラリンピックが開催されると分かってからの6年間の間に、ずっと積み上げてきたのでしょうね。ですから、東京も是非そうしなければならないと思います。
高木優一:
でも、東京都民でそこまで考えている人は少ないんじゃないですか。大方が、競技やメダルのことしか考えていないように思います。
鈴木隆道:
確かにそうなのですが、これから実践していけるようになればいい。実際、パラリンピックのいろいろな種目を一般の人たちが実体験するという試みなども行われてきています。

photo by naokichi hasebe

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