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SPECIAL対談 鈴木隆道×高木優一
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どこの候補地のプレゼンテーションも放映すべき価値がある

高木優一:
誘致でご苦労されたことはどんなところですか。
鈴木隆道:
日本は世界のスポーツ界に対して強い人脈がないんです。ですから、まずは中枢の関係者に対して、信頼される人間関係をどのように作り上げていくかという戦略を、関係者がそれぞれの立場で行っていったのです。
高木優一:
あの最終的なプレゼンテーションの内容だけで次の開催地が決まるということでもないんですね。
鈴木隆道:
プレゼンテーションが始まる以前に、ほぼ決まっているとは思いますが、プレゼンテーションの中にも大事な要素がいくつかあります。そこを外してはいけません。プレゼンテーションは真剣に綿密に計画をしていかなければだめなのです。プレゼンが弱ければマイナスのチェックをされますから。プレゼンテーションはすべての候補国のパフォーマンスを観ましたが、どこも素晴らしかったです。優劣はつけられませんでしたね。
高木優一:
我々はテレビで日本のプレゼンしか観られませんでしたからね。
鈴木隆道:
日本の欠点はそこですね。あの本当に感動的なイスタンブールやマドリッドのプレゼンテーションを放送しないんですから。
高木優一:
日本人のほとんどが、あのプレゼンの場で日本が何を言ったかしか報道されません。「お・も・て・な・し」しか記憶に残っていないんじゃないですかね。
鈴木隆道:
どの国も心血を注いでプレゼンテーションを行ったということが報道されないのは本当に残念なことです。
高木優一:
ロンドン、北京あるいはリオではどのようなところを評価されますか。
鈴木隆道:
それぞれの国の文化と伝統をきちんと打ち出している点はまず評価されるべきでしょうね。それぞれ、自分の国の文化に誇りを持って、世界の国と繋がっていこう、世界中の人を受け入れようという気概がとても感じられました。皆、自国の歴史や文化をとても大切にしています。日本だって、遜色のない素晴らしい文化・伝統を持っているのですから、それをもう一度掘り起こして、日本人の心を持って、若い人たちが世界の人たちと繋がっていこうと働きかけることが大切でしょうね。
高木優一:
ところが日本人の大半の人たちは、日本の文化、歴史、誇りなどに対する意識は低いように見えます。
鈴木隆道:
そうだと思います。ですから、この3年間で少しずつ動かしていかなければならないと感じています。
高木優一:
そうですね。今後もいろいろな場面で力を発揮していただき、ぜひ素晴らしいオリンピック、パラリンピックを実現させてください。今日は有難うございました。

photo by naokichi hasebe

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