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SPECIAL対談 柳田清二×高木優一
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空き家バンク政策の見直し

高木優一:
長野県は確かに都心に住む人間にとって魅力的な土地だと思いますが、それを感じて移住しようという方はやはり年齢的には上の世代ということになりますか。
柳田清二:
今、挙げた活断層が見当たらない、あるいは医療が充実しているといった点、また余生を生きいきと過ごしたい土地であるという点を考えると、やはり上の世代が魅力を感じる土地風土ということになるのでしょうが、ひとつ空き家バンクの課題があります。これまでの移住施策方針を検証し、空き家バンクを見直す時期にきていると感じています。空き家バンクの在庫を持つというのは結構リスキーなことなのですが、在庫が縮小していくと、移住施策そのものがジリ貧になってしまうとの危惧があります。そのようにならないために、マンションでもアパートでも、あるいは戸建てにおいても、いつまでの移住という時限を設けてもいいと考えています。期限付きの移住ですね。10年経ったらまた都心に戻るという前提で借りてもいいし、期限つきで借りて気に入れば改めて物件の購入を考えればいい、というようなフレキシブルな対応を図っていきたいと考えています。
高木優一:
なるほど。5年後、10年後、経済の流れも大きく変わるかもしれませんしね。人口はますます減っていくわけですから。
柳田清二:
家に関しては間違いなく“有り余り現象”に陥っていくでしょうね。地方活性化を謳うのはいいのですが、現実はそれほど成果が上がっているとは思いません。そんな中で、実は佐久平周辺はバブル期よりも人口が増加しているのです。新幹線が開通され、佐久平駅が畑の中にぽつんとでき、当初は日に32本停車をしていたのが50本に増え、60ヘクタールの土地を区画整理したのですが、土地利用率が99%、固定資産税が130倍になっています。新幹線効果が最も高かった都市といえます。
高木優一:
人を集める力のある地方都市という言い方ができますね。
柳田清二:
中央道から静岡市の清水区まで抜ける高速道路(中部横断自動車道)が2年後に全面開通します。佐久から清水までは現在4時間半かかっているのですが、その道路が開通すれば2時間40分で行けるようになります。清水港の変革は眼を瞠るものがありまして、この10年間で輸出入能力が実に24倍に上がっています。
高木優一:
朝、清水港で水揚げされた魚がお昼には佐久で食べられるということですね。
柳田清二:
しかも、その高速道路の一部区間は国と地方行政が分担してお金を出す新直轄方式を採用していますので、通行料が無料なのです。
高木優一:
それは利用者にとっても有り難い話ですね。
柳田清二:
普通の高速道路は高速道路会社が借金して建設し、1回づつ利用料金を徴収するというやり方ですが、利用頻度が低いとずっと借金を抱えることになってしまいます。

photo by naokichi hasebe

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