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SPECIAL対談 吉田義人×高木優一
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成り立ちは貴族の社交としてのスポーツ

高木優一:
ラグビーの場合、子供たちへの教育者が不足しているということですか。
吉田義人:
ラグビーはアマチュアのスポーツとして発展した経緯があります。学生時代にラグビーをプレーしていた人たちが、その後社会人となり土日の休日を使って各ラグビースクールのコーチとなり、子どもたちを指導しているという状況です。しかし、サッカーのJリーグ組織のようなJr世代を指導するライセンス制度が充実している実情でもなく、大概はそれぞれの指導者の知識と経験を元に教えている状況です。
高木優一:
吉田さんの目から見れば、一時代前の指導をしているなと感じてしまうこともあるでしょうね。
吉田義人:
まだまだ身体が発育発達し始めたばかりの子どもに、「低くタックルを行け、真っ直ぐ当たれ」といった抽象的な指示を出し、怪我のリスクが高まるような指導をしてしまっている場合もあります。
高木優一:
吉田さん自身は何歳のときに始められたのですか。
吉田義人:
9歳からです。
高木優一:
9歳の少年がラグビーのどういうところに魅力を感じたのですか。
吉田義人:
もともと外遊びが大好きだったのですが、遊び仲間の一人が冬のある日、へんな形のボールを持ってきて「これでグビーやろう」ということになり、裏の田んぼでやったのが始まりです。人と人とがぶつかり合って、ボールも自身でコントロールでき、ハンドリングの面白さもある。いろいろなスポーツの良さがミックスされたスポーツだと気づき、それで夢中になりました。
高木優一:
なるほど。
吉田義人:
ラグビーはもともと、英国の上流階級のスポーツだったんです。貴族の品位・品格を身につけさせるべく、マナー教育などを目的として採り入れられたスポーツなんです。同じ英国発祥のゴルフやテニスなどと一緒です。
高木優一:
へえ、ラグビーが貴族のスポーツだったとは知りませんでした。
吉田義人:
上流階級の社交の手段として発展してきたスポーツなんですね。サッカーも英国発祥ですが、もともと大衆層のスポーツで、それがお金を稼ぐ、つまりビジネスとして大きく発展してきたわけで、ラグビーとは成り立ちが大きく違うのです。ですから、ヨーロッパではラグビーは高貴なスポーツとして、そのプライドを保ってきたわけなんです。ラグビーは品位とか品格とかマナーとか、人が成長していく上で重要な要素を培うことができるので、子どものときから始め、身に付けさせることが大事だと思います。

photo by naokichi hasebe

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