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成年後見のメリット・デメリットを教えて下さい

(神奈川県横浜市磯子区在住G様)
親族が重い痴呆症で、裁判所の成年後見制度を利用しようと検討しています。

財産は現在住む自宅の借地権と若かりし頃よく利用していたゴルフ会員権といくばくかの現金(●●信金のみ)と認識しています。

大した財産がある人間ではないものの借地という手間のかかる財産と相続人に誰もゴルフをやる者がいない為、ゴルフ会員権など誰も必要としていないものでどう処分したらいいのかも全く分かりません。

法律ごとに詳しい人間も周りにおらず、何分初めてのことでして、何から手を付ければいいのか分からないことだらけで戸惑っております。

成年後見制度を利用するメリット・デメリットなど専門家のご意見がございましたらご教示を賜れますと幸いです。
相続後見
北村 亮典弁護士の回答

(こすぎ法律事務所共同代表)

成年後見制度を利用するメリットとデメリットについて説明します。

1 成年後見制度を利用するメリット

本件では、ご親族の方は主な財産として借地権とゴルフ会員権を有しておられるようですが、今後は、・借地権の場合は地代の支払いや更新契約、更新料の支払いについての地主との交渉

・将来施設に入居することになった場合の借地の売却
・ゴルフ会員権の売却

といった交渉や契約などが必要になります。

しかし、上記のような財産取引について、親族の方が重い痴呆症ということですと、本来は契約等の取引行為をすることができません。

他の近親者の方が本人に代わって行ったとしても、法律上は無効となるのが原則です。

また、誰か一人の独断で行ったりすると、後々他の親族から「自分勝手に処分した。」などと疑いをかけられるおそれもあります。

そこで、上記のような財産行為を、法律上正当に行うためには、ご親族の方の財産管理について代理権原を有する成年後見人を裁判所に選任してもらい、成年後見人が行うことが必要となります。

成年後見人という立場で行った財産行為は、その権原に基づいて行なったものであれば法律上正当ですので、後から向こうの主張をされる等といったおそれはなくなります。

また、成年後見人は、ご親族の方の財産全般を管理し、裁判所に財産状況や、重要な財産の処分について報告し承認を得る義務があり、裁判所の監督を受けていますので、ご親族の方の財産が不用意に散逸したり、誰かが勝手に財産を管理・処分したり、横領するといったことも防げます。

2 成年後見制度を利用するデメリット

誰が成年後見人に就任するかによって異なりますので、以下場合を分けて説明します。

(1)ご本人の親族が成年後見人になる場合

上記とおり、成年後見人に就任した場合、裁判所に対して最低年に1回、ご親族の方の財産状況を全て報告しなければなりません。

したがいまして、金銭の使徒や財産の取引の履歴などを正確に記録しておかなければならず、その手間がかかります。

今まで何気なく行なっていたちょっとした支払だったり、財産の処分についても、後で裁判所から説明を求められた場合に説明できるよう資料等を残しておかなければなりませんので、その事務的作業の負担が生じるのがデメリットといえます。

(2)弁護士等の第三者が成年後見人になる場合

親族等で成年後見人に適した者がいない場合、裁判所が弁護士等の専門家を成年後見人に選任します。

その場合、通常は、成年後見人に対して報酬が支払われることとになります。

報酬はご本人の財産から支出されますが、その費用が余計にかかってしまうということになります(報酬はおおよそ年間20万円~50万円程度です)。

3 総括

以上が成年後見制度を利用するメリット、デメリットになりますが、いずれにしましても、成年後見制度を利用すれば、ご親族の方の財産を守るだけでなく、その周りの近親者の方にとっても、ご親族の方の財産管理に対する不安が無くなりますので、成年後見制度を利用することが最善です。
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