定期借地権に関して相談させて下さい。
(東京都杉並区在住S様)
昨年両親が亡くなり、定期借地で契約していた実家を売却したい旨を地主に話をしたところ不動産会社と話をしてくれとの事。
そこで不動産会社に電話をし、話をしたところ「おたくの契約は定期借地権の契約だから建物の買取請求は出来ないよ。」と言われました。
それどころかうちの負担で建物を解体し、更地にして返還してくれとぶっきらぼうに言われました。
最近借地権に関する色んな本を読み漁っていますが、不動産屋の言う通り、定期借地権の場合更新できないし、建物の買取請求権はないと書いてあるのですが、50年以上という契約ではないので(うちは30年の借地契約)定期借地契約には該当しない様な気がします。
無償で返還するのと借地権を買い取ってもらうのではウン千万の開きがある為、うちとしても引き下がることは出来ません。
こういう場合どうしたらいいのでしょうか?
そこで不動産会社に電話をし、話をしたところ「おたくの契約は定期借地権の契約だから建物の買取請求は出来ないよ。」と言われました。
それどころかうちの負担で建物を解体し、更地にして返還してくれとぶっきらぼうに言われました。
最近借地権に関する色んな本を読み漁っていますが、不動産屋の言う通り、定期借地権の場合更新できないし、建物の買取請求権はないと書いてあるのですが、50年以上という契約ではないので(うちは30年の借地契約)定期借地契約には該当しない様な気がします。
無償で返還するのと借地権を買い取ってもらうのではウン千万の開きがある為、うちとしても引き下がることは出来ません。
こういう場合どうしたらいいのでしょうか?
清水 晃弁護士の回答
(弁護士法人ベリーベスト法律事務所)
法律的な見地からいえば、本件の借地権は、不動産会社から言われている定期借地権(事業用などと区別するために「一般定期借地権」といいます。)には該当しません。
ただし、本件では、建物買取請求権が必ずしも認められるとはいえないことにもご注意ください。
1 一般定期借地権に該当するかについて
不動産会社は、定期借地権であることをもって、建物買取請求権の存在を認めようとしていないため、法的には一般定期借地権の主張をしているものと考えられます。
ところが、一般定期借地権を設定する場合には、法律上、借地権の存続期間を50年以上の確定した期限を設けなければならない旨の定めがあります。
これを下回る存続期間を設定した場合には、当事者が定期借地権として合意をしていたとしても、法律上は一般定期借地権とは認められません。
仮に、契約上定期借地権との文言が用いられていたとしても、法律上はただの借地権となり、建物買取請求権は否定されないのです。
借地借家法は、通常立場の弱い借主が、契約上過度に不利な立場に立たされることのないように借主を保護する規定であり、この趣旨に該当する条項に違反する契約は、たとえ当事者の合意があっても無効なものと解されています。
なので、定期借地権という合意をしても、借地借家法の趣旨に反する契約内容であれば、無効となり、借地権は一般の借地権となりますので、法定更新および建物買取請求権が認められうることになります。
したがいまして、本件の借地権も、契約期間が30年とされ、一般定期借地権とするための要件を備えていないことから、不動産会社の主張する定期借地権には該当しないこととなり、一般の借地権であると考えられます。
2 建物買取請求権が認められるかについて
ただし、一般の借地権だからといって常に契約を解除した際に建物を買い取ってもらえるというわけではありません。
というのも、建物買取請求権は、条文上、借地契約が期間満了によって終了した際に認められる権利とされているところ、本件の借地権について、30年の契約期間の満了をもって契約が終了しないと、法的な建物買取請求権の発生が認められないためです。
なので、本件では、30年の借地契約期間の満了が間近に迫っていれば、期間の満了に伴って、借地契約の更新を望まないこと及び建物の買取を地主に求めればよいのです。
一方で、借地権の存続期間がまだ残っているなかで、借地契約を中途解約したうえで建物を買い取ってもらうには、地主と交渉して建物の買取を含めた合意を取り付けなければならないことになります。
ただし、本件では、建物買取請求権が必ずしも認められるとはいえないことにもご注意ください。
1 一般定期借地権に該当するかについて
不動産会社は、定期借地権であることをもって、建物買取請求権の存在を認めようとしていないため、法的には一般定期借地権の主張をしているものと考えられます。
ところが、一般定期借地権を設定する場合には、法律上、借地権の存続期間を50年以上の確定した期限を設けなければならない旨の定めがあります。
これを下回る存続期間を設定した場合には、当事者が定期借地権として合意をしていたとしても、法律上は一般定期借地権とは認められません。
仮に、契約上定期借地権との文言が用いられていたとしても、法律上はただの借地権となり、建物買取請求権は否定されないのです。
借地借家法は、通常立場の弱い借主が、契約上過度に不利な立場に立たされることのないように借主を保護する規定であり、この趣旨に該当する条項に違反する契約は、たとえ当事者の合意があっても無効なものと解されています。
なので、定期借地権という合意をしても、借地借家法の趣旨に反する契約内容であれば、無効となり、借地権は一般の借地権となりますので、法定更新および建物買取請求権が認められうることになります。
したがいまして、本件の借地権も、契約期間が30年とされ、一般定期借地権とするための要件を備えていないことから、不動産会社の主張する定期借地権には該当しないこととなり、一般の借地権であると考えられます。
2 建物買取請求権が認められるかについて
ただし、一般の借地権だからといって常に契約を解除した際に建物を買い取ってもらえるというわけではありません。
というのも、建物買取請求権は、条文上、借地契約が期間満了によって終了した際に認められる権利とされているところ、本件の借地権について、30年の契約期間の満了をもって契約が終了しないと、法的な建物買取請求権の発生が認められないためです。
なので、本件では、30年の借地契約期間の満了が間近に迫っていれば、期間の満了に伴って、借地契約の更新を望まないこと及び建物の買取を地主に求めればよいのです。
一方で、借地権の存続期間がまだ残っているなかで、借地契約を中途解約したうえで建物を買い取ってもらうには、地主と交渉して建物の買取を含めた合意を取り付けなければならないことになります。