こういう場合は断れないのでしょうか?
(東京都渋谷区在住H様)
祖父の代から借地として貸している土地があるのですが借地人である父が亡くなり、相続手続きをしたいので私宛名義を変更する事に関し許可して下さいと言ってきました。
しかしその息子は普段態度が悪く、私としては父の代で借地契約はお断りしたいのが偽らざる気持ちです。
実際契約は亡くなった父名義であり、その息子ではありません。
相続するのは自由ですが、地主として断ることは出来ないでしょうか?
しかしその息子は普段態度が悪く、私としては父の代で借地契約はお断りしたいのが偽らざる気持ちです。
実際契約は亡くなった父名義であり、その息子ではありません。
相続するのは自由ですが、地主として断ることは出来ないでしょうか?
(借地)
清水 晃弁護士の回答
(弁護士法人ベリーベスト法律事務所)
1 使用貸借契約
まず,相談者(地主)が借主から地代をいただいていない(または,著しく低廉な価格な額しかいただいていない)場合,この契約は使用貸借契約ということになります。
使用貸借契約は,借主の死亡によって,契約が終了(民法第599条)しますので,借主の息子が相続することはありません。
したがって,名義変更に応じる必要はありませんし,土地を明渡してほしいということもできます。
2 賃貸借契約
相談者(地主)が借主から地代をいただいている場合,この契約は賃貸借契約ということになります。
賃貸借契約ですと,借主が有していた賃借人たる地位は,相続の対象となり,そのまま息子に引き継がれることになります。
契約は,相談者と借主である父親との契約のようですが,名義変更をしなくても,父親が有していた権利義務を息子が引き継ぐことになります。
したがって,相談者が名義変更に応じる義務まではありませんが,名義変更に応じなくても,息子には,土地を利用する権利があることになります。
借地契約をお断りするためには,借地契約を終了させる必要があります。
借地契約を終了させる方法としては,以下の方法が考えられます。
①1つ目は,借地契約の解除です。
息子の普段の態度が悪いだけでは解除事由になりませんが,地代不払いが続いたり,土地の利用方法が悪かったりすれば解除できる場合があります。
②2つ目は,借地契約の更新拒絶です。
建物の所有を目的として土地を貸した場合,借地借家法の適用があります。
借地借家法によると,契約の期間更新時に地主が更新に異議を述べ,正当な事由が認められる場合には更新を拒絶することができます(借地借家法5条1項,6条)。
正当な事由とは,地主が土地を必要とする事情や,立退き料の支払い等の事情が考慮されますが,一般的に正当な事由が認められるケースは少ないです。
正当な事由がある異議と認められなければ,契約は従前と同内容で更新されたと扱われます。
③3つ目は,借地契約の解約です。
建物の所有を目的としていない場合は,借地借家法の適用がなく,民法の原則に戻ります。
民法によると,契約に期間の定めがない場合,いつでも解約の申入れが可能であり,土地の賃貸借の場合は解約の申入れから1年後に契約が終了します。
④4つ目は,期間の満了です。
契約に期間の定めがある場合には,当該期間の満了により契約は終了します。
ただし,期間が満了した後にもなお息子が土地の使用を継続しており,相談者がそれを知りながら異議を述べない場合には,契約は更新されたものと扱われます(民法619条1項)。
このようにして契約が更新された後は,契約に期間の定めがない場合と同様になりますので,上記③の話があてはまります。
以上は,借地契約が建物の所有を目的としていない場合で,借地借家法の適用がないことを前提とした話です。
他方で,借地契約が建物の所有を目的としている場合で,借地借家法の適用があることを前提とすると,以下のとおりです。
契約の期間が満了し,息子が更新を請求してこない場合は,そのまま契約は終了となります。
息子が更新を請求してきた場合は,上記②の話があてはまります。
さらに,息子が更新を請求してこないが,そのまま土地を継続して使用しており,相談者がそれを知りながら異議を述べない場合には,やはり契約は更新されたものと扱われます(借地借家法5条2項)。
この規定に基づき更新された後は,期間の定めがないものとなるわけではないことに注意が必要です。
まず,相談者(地主)が借主から地代をいただいていない(または,著しく低廉な価格な額しかいただいていない)場合,この契約は使用貸借契約ということになります。
使用貸借契約は,借主の死亡によって,契約が終了(民法第599条)しますので,借主の息子が相続することはありません。
したがって,名義変更に応じる必要はありませんし,土地を明渡してほしいということもできます。
2 賃貸借契約
相談者(地主)が借主から地代をいただいている場合,この契約は賃貸借契約ということになります。
賃貸借契約ですと,借主が有していた賃借人たる地位は,相続の対象となり,そのまま息子に引き継がれることになります。
契約は,相談者と借主である父親との契約のようですが,名義変更をしなくても,父親が有していた権利義務を息子が引き継ぐことになります。
したがって,相談者が名義変更に応じる義務まではありませんが,名義変更に応じなくても,息子には,土地を利用する権利があることになります。
借地契約をお断りするためには,借地契約を終了させる必要があります。
借地契約を終了させる方法としては,以下の方法が考えられます。
①1つ目は,借地契約の解除です。
息子の普段の態度が悪いだけでは解除事由になりませんが,地代不払いが続いたり,土地の利用方法が悪かったりすれば解除できる場合があります。
②2つ目は,借地契約の更新拒絶です。
建物の所有を目的として土地を貸した場合,借地借家法の適用があります。
借地借家法によると,契約の期間更新時に地主が更新に異議を述べ,正当な事由が認められる場合には更新を拒絶することができます(借地借家法5条1項,6条)。
正当な事由とは,地主が土地を必要とする事情や,立退き料の支払い等の事情が考慮されますが,一般的に正当な事由が認められるケースは少ないです。
正当な事由がある異議と認められなければ,契約は従前と同内容で更新されたと扱われます。
③3つ目は,借地契約の解約です。
建物の所有を目的としていない場合は,借地借家法の適用がなく,民法の原則に戻ります。
民法によると,契約に期間の定めがない場合,いつでも解約の申入れが可能であり,土地の賃貸借の場合は解約の申入れから1年後に契約が終了します。
④4つ目は,期間の満了です。
契約に期間の定めがある場合には,当該期間の満了により契約は終了します。
ただし,期間が満了した後にもなお息子が土地の使用を継続しており,相談者がそれを知りながら異議を述べない場合には,契約は更新されたものと扱われます(民法619条1項)。
このようにして契約が更新された後は,契約に期間の定めがない場合と同様になりますので,上記③の話があてはまります。
以上は,借地契約が建物の所有を目的としていない場合で,借地借家法の適用がないことを前提とした話です。
他方で,借地契約が建物の所有を目的としている場合で,借地借家法の適用があることを前提とすると,以下のとおりです。
契約の期間が満了し,息子が更新を請求してこない場合は,そのまま契約は終了となります。
息子が更新を請求してきた場合は,上記②の話があてはまります。
さらに,息子が更新を請求してこないが,そのまま土地を継続して使用しており,相談者がそれを知りながら異議を述べない場合には,やはり契約は更新されたものと扱われます(借地借家法5条2項)。
この規定に基づき更新された後は,期間の定めがないものとなるわけではないことに注意が必要です。