父が亡くなったと弁護士から連絡がありました
(神奈川県横浜市磯子区在住O様)
私は複雑な家庭環境下で育ちました。
幼少頃に両親が離婚し、私は母方へ引き取られ現在住む川崎市内で生活してきたのですが、看病の甲斐もなく母は4年前に亡くなりました。
今年になって、父が昨年亡くなったと弁護士から連絡があり、遺産相続の話になっているのですが、遺産がどれだけあるのかご年配の弁護士は全く教えてくれません。
とても不信感を持っているのです。
父とはここ何十年も会っていませんが、江戸川区内で会社を経営していたこともあり資産はあるはずです。
現在シングルマザーとして子供を一人育てている身として少しでも相続できれば嬉しいです。
現在父がどれだけ資産があったのか、遺言書はあったのか再婚して子供がいるのかいないのかも分かりません。
ただ弁護士から通知が来たのでその人だけが頼りです。
この弁護士に資産を隠され私だけ少ないと言った不利な条件を飲まされるという事って考えられますか?
今まで人に騙されっ放しの人生なので疑心暗鬼になっています。
父の資産がいくらあるのか本当の数字を知りたいのです。
どこに行けばいいのでしょうか?
幼少頃に両親が離婚し、私は母方へ引き取られ現在住む川崎市内で生活してきたのですが、看病の甲斐もなく母は4年前に亡くなりました。
今年になって、父が昨年亡くなったと弁護士から連絡があり、遺産相続の話になっているのですが、遺産がどれだけあるのかご年配の弁護士は全く教えてくれません。
とても不信感を持っているのです。
父とはここ何十年も会っていませんが、江戸川区内で会社を経営していたこともあり資産はあるはずです。
現在シングルマザーとして子供を一人育てている身として少しでも相続できれば嬉しいです。
現在父がどれだけ資産があったのか、遺言書はあったのか再婚して子供がいるのかいないのかも分かりません。
ただ弁護士から通知が来たのでその人だけが頼りです。
この弁護士に資産を隠され私だけ少ないと言った不利な条件を飲まされるという事って考えられますか?
今まで人に騙されっ放しの人生なので疑心暗鬼になっています。
父の資産がいくらあるのか本当の数字を知りたいのです。
どこに行けばいいのでしょうか?

浅野健太郎弁護士の回答
(弁護士法人ベリーベスト法律事務所代表)
1
⑴ まず、お父様がお亡くなりになられたことを知らせてきた弁護士が、お父様が残された遺言についての遺言執行者であった場合、この弁護士には、遺産に関して財産目録を作成して相続人に交付する義務があります(民法1011条)。
また、遺言執行者は、相続人から要求があったときは、いつでも遺言の執行状況等について報告する義務があります(同645条)。
⑵ よって、この弁護士が遺言執行者であった場合、相続人であるあなたから請求があるにもかかわらず、お父様の遺産に関して何も教えないということは法律上の義務違反となりますので、この弁護士に対して、財産目録の交付又はお父様
の遺産についての調査状況の報告を請求することにより、お父様の遺産に関して知ることができます。
2
次に、この弁護士が遺言執行者ではなかった場合でも、この弁護士は、お父様の会社の顧問であった等お父様の資産状況を知りうる立場であった可能性が高いことから、まずはこの弁護士にお父様の遺産について尋ねてみるということが考え
られます。
3
⑴ この弁護士がお父様の遺産の内容を知らない、又は知っていても情報を開示してくれない場合は、お父様の遺産について自ら調査することになります。
具体的には、まず、お父様の本籍地を管轄する市区町村役場において、お父様の戸籍謄本、除籍謄本又は改製原戸籍謄本を取得し、お父様の相続人について把握することが考えられます。
これにより、あなた以外の相続人について把握できます。
また、以下で説明する不動産の名寄帳を取得する際に必要となる「相続人であることの証明」にも使用できます。
さらに、お父様の最終居住地について知ることができる可能性があり、自動車等の高価な遺産の所在を知る手掛かりとなりえます。
よって、この作業は遺産調査に必要なものといえます。
なお、あなたの他に相続人となりうる者は、お父様が再婚されていれば、その配偶者(民法890条前段)及びお父様とその配偶者との間の子又は両者の間の子以外のお父様から認知された子(同887条1項)となります。
また、これらの子に子、つまりお父様から見て孫がおり、これらの子が、お父様がお亡くなりになる前に死亡している場合は、子に代わって孫が相続人となります(同条2項)。
⑵ 次に、お父様が会社を経営していた江戸川区、居住されていた地域又はお父様にゆかりのある地域の市区町村役場に行き、お父様が所有していた不動産の一覧表である名寄帳により遺産を把握することになります。
上記のとおり、この名寄帳を見る際には、あなたがお父様の相続人であることを証明できるものが必要になります。
もっとも、これらの方法は、名寄帳にはその市区町村に存在する不動産しか記載されていないことから、その他の市区町村にある遺産については知ることはできません。
よって、この方法にもおのずと限界があるということになります。
⑶ 最後に、取得した戸籍謄本等から判明したお父様が最後に同居していた家族等から、お父様の遺産について聴き取るか、又は固定資産税の通知を見せてもらうという方法が考えられますが、これらの者も相続人である場合、お父様の遺産について利害関係が有するため、お父様の遺産について素直に教えてくれるとは限りません。
4
⑴ 以上は、お父様の遺産がプラスの状態であることを前提とした説明であり、お父様の遺産がマイナスの状態である場合は、採るべき手続が変わってきます。
すなわち、相続の対象となるお父様の財産には、不動産などの換価価値のあるプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます(民法896条本文)。
そして、プラスの財産と比べてマイナスの財産が多い場合、あなたは相続により負債を負うことになります。
どうしても相続したい遺産があるなどの特段の事情がない限り、これでは遺産を相続する意味はありません。
⑵ そこで、このような場合は、あなたが相続の開始を知った時から3カ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の申述をする必要があります(民法915条1項本文)。
もっとも、正確な遺産状況を知り得ず、相続放棄すべきかどうかわからない現在の状況を家庭裁判所に対して説明すれば、家庭裁判所が、この3カ月という期間が延長してくれる場合があります(同条項ただし書)。
5
以上が、あなたがお父様の遺産について知るために採りうる手段となります。
⑴ まず、お父様がお亡くなりになられたことを知らせてきた弁護士が、お父様が残された遺言についての遺言執行者であった場合、この弁護士には、遺産に関して財産目録を作成して相続人に交付する義務があります(民法1011条)。
また、遺言執行者は、相続人から要求があったときは、いつでも遺言の執行状況等について報告する義務があります(同645条)。
⑵ よって、この弁護士が遺言執行者であった場合、相続人であるあなたから請求があるにもかかわらず、お父様の遺産に関して何も教えないということは法律上の義務違反となりますので、この弁護士に対して、財産目録の交付又はお父様
の遺産についての調査状況の報告を請求することにより、お父様の遺産に関して知ることができます。
2
次に、この弁護士が遺言執行者ではなかった場合でも、この弁護士は、お父様の会社の顧問であった等お父様の資産状況を知りうる立場であった可能性が高いことから、まずはこの弁護士にお父様の遺産について尋ねてみるということが考え
られます。
3
⑴ この弁護士がお父様の遺産の内容を知らない、又は知っていても情報を開示してくれない場合は、お父様の遺産について自ら調査することになります。
具体的には、まず、お父様の本籍地を管轄する市区町村役場において、お父様の戸籍謄本、除籍謄本又は改製原戸籍謄本を取得し、お父様の相続人について把握することが考えられます。
これにより、あなた以外の相続人について把握できます。
また、以下で説明する不動産の名寄帳を取得する際に必要となる「相続人であることの証明」にも使用できます。
さらに、お父様の最終居住地について知ることができる可能性があり、自動車等の高価な遺産の所在を知る手掛かりとなりえます。
よって、この作業は遺産調査に必要なものといえます。
なお、あなたの他に相続人となりうる者は、お父様が再婚されていれば、その配偶者(民法890条前段)及びお父様とその配偶者との間の子又は両者の間の子以外のお父様から認知された子(同887条1項)となります。
また、これらの子に子、つまりお父様から見て孫がおり、これらの子が、お父様がお亡くなりになる前に死亡している場合は、子に代わって孫が相続人となります(同条2項)。
⑵ 次に、お父様が会社を経営していた江戸川区、居住されていた地域又はお父様にゆかりのある地域の市区町村役場に行き、お父様が所有していた不動産の一覧表である名寄帳により遺産を把握することになります。
上記のとおり、この名寄帳を見る際には、あなたがお父様の相続人であることを証明できるものが必要になります。
もっとも、これらの方法は、名寄帳にはその市区町村に存在する不動産しか記載されていないことから、その他の市区町村にある遺産については知ることはできません。
よって、この方法にもおのずと限界があるということになります。
⑶ 最後に、取得した戸籍謄本等から判明したお父様が最後に同居していた家族等から、お父様の遺産について聴き取るか、又は固定資産税の通知を見せてもらうという方法が考えられますが、これらの者も相続人である場合、お父様の遺産について利害関係が有するため、お父様の遺産について素直に教えてくれるとは限りません。
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⑴ 以上は、お父様の遺産がプラスの状態であることを前提とした説明であり、お父様の遺産がマイナスの状態である場合は、採るべき手続が変わってきます。
すなわち、相続の対象となるお父様の財産には、不動産などの換価価値のあるプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます(民法896条本文)。
そして、プラスの財産と比べてマイナスの財産が多い場合、あなたは相続により負債を負うことになります。
どうしても相続したい遺産があるなどの特段の事情がない限り、これでは遺産を相続する意味はありません。
⑵ そこで、このような場合は、あなたが相続の開始を知った時から3カ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の申述をする必要があります(民法915条1項本文)。
もっとも、正確な遺産状況を知り得ず、相続放棄すべきかどうかわからない現在の状況を家庭裁判所に対して説明すれば、家庭裁判所が、この3カ月という期間が延長してくれる場合があります(同条項ただし書)。
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以上が、あなたがお父様の遺産について知るために採りうる手段となります。